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オリジナル楽曲の紹介やカバー曲を投稿していきます

私は諦める(ウイグル詩へのメロディー)

私は諦める(ゴジャ・ムハッマド氏のウイグル詩へのメロディー) 2024/1/1

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私は諦める(ウイグル詩へのメロディー) on Vimeo

 

作曲者が歌っている歌詞

 

太陽がこれほど暗くなかったとしたならば

私は月に抱きついて泣いてすがりついただろうか

太陽がこれほど暗くなかったとしたならば

私は月に抱きついて泣いてすがりついただろうか

星々がこれほど寂しくなかったら

私は川辺に行き  雲を叱っただろうか

あの天の空を  花の香を  私は諦める

深い懐と  ほとばしる涙を諦める

星々がこれほど寂しくなかったら

私は川辺に行き  雲を叱っただろうか

死の淵を巡り  流離いて  私は諦める

死の淵を巡り  流離いて  私は諦める

 

編詩・作曲  2024/1/1  historyninjin

 


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原詩

 

「私は諦める」


太陽がこれほど暗くなかったら

私は月に抱きついて泣いただろうか

星々がこれほど寂しくなかったら

私は川辺に行き雲を叱っただろうか

ああ アッラー

私は諦める

天の空を

花の芳香を

懐の深さを

目の涙を

ああ アッラー

私は自分より小さい

自分の言葉には唖

時に右と左を見て二つの顔を恥らう

睫毛(まつげ)は矢

体毛は槍

あばら骨はナイフ

肉体に犬が吠え

血は全身を脈打ち流れる

髪の毛に泊まる一夜が曙までに白くなる

花束を手にとったまま 窓から恋の季節が急いで過ぎ去る

ああ アッラー

私は諦める

さすらいだ ああ 何故か死んでしまった調べの中で

命の蕾が満開になったエジェムムカームの中で

寝床は嘶(いなな)き 沈黙は鳴る

死んだ馬が壁を越えて天に旅立つ

長らえることが これほど辛さを味わうことだろうか

 

ゴジャ・ムハッマド:1971年ホータンに生まれる。若手を代表する詩人のひとり

ウイグル新鋭詩人 選詩集(芽生えはじめる言葉たち)ムカイダイス,河合眞編訳  より

 

 

◆続編「死の薔薇」2024/1/6

https://ninjinmusic.hatenablog.com/entry/2024/01/09/014724


死の薔薇(ウイグル詩) on Vimeo

 

◆その続編「秩序」2024/1/12

https://ninjinmusic.hatenablog.com/entry/2024/01/13/141818


ウイグル詩へのメロディー「秩序」 on Vimeo

 

◆「命が芽生える時」2024/1/27

https://historyninjin.hatenablog.com/entry/2024/01/28/162338


命が芽生える時 on Vimeo

 


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牢獄の詩「片隅にひとりでいる」

 

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片隅にひとりでいる(ウイグルグループの歌) on Vimeo

 

この歌はウイグルのグループによって歌われた歌です。YouTube にアップされ9万回ほど再生されていたようですが、現在は削除され聞けない状態です。

 

非常に深刻な内容を扱っていながら見事に音楽的に表現しています。

 

以下は私がこのことについてアップした記事です。YouTube が削除されましたとあるので、以前YouTube の動画から音声データだけをmp3形式で保存していたものに、詩の作者と娘さんの写真を組み合わせて再生できるようにしました。

 

以前の記事はこちらです。

https://ninjinmusic.hatenablog.com/entry/2021/07/16/232749

 


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「恋い焦がれる」(ウイグル詩へのメロディー)

 君の心にある意味が  全て  私に属して欲しい
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ウイグル詩、アイムネサ・ソレイマン(1982年ホータン生まれ女流詩人)の「恋い焦がれる」に history ninjin が作曲(2023/11/18~19)しました。

詩は、ウイグル新鋭詩人 選詩集(芽生えはじめる言葉たち)ムカイダイス,河合眞編訳  より



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「恋焦がれる」


恋の火花

命を暖める

日々が一束一束の花になって

幸の歌を詠う

聞いているのか

私の瞳が君の心に話しかける時

君への優しさが私の息になる時

君に捧げる歌を詠う

君が来るのを待ちわびつつ

 


私の愛おしい人

私は君の調べ

私とともに

闇に囁きたまえ

私が君になる なりつつある日々

君の心にある意味が私に属して欲しい

君のすべてがわたしのものであるように

心の果てしなさに一つの太陽

 


君を愛する

恋焦がれる己に喜ぶ

己自身に入れないほど膨らむ瞬間

君に溢れていく

君以外 誰もいない

君も私以外に

愚痴を聞く者はいるのか

 

アイムネサ・ソレイマン

1982年ホータンに生まれる 女流詩人

2005年ハンテングリ文学賞受賞    中学校教師

 

全曲


恋い焦がれる(全曲) on Vimeo

 

第1連 (恋の火花)


恋い焦がれる(1連) on Vimeo

 

第2連 (私の愛しい人)


恋い焦がれる(2連) on Vimeo

 

第3連 (君を愛する  恋い焦がれる自分に喜ぶ)


恋い焦がれる(3連) on Vimeo

 


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作曲者が歌っている歌詞

 

◆第1連

恋の火花    命を暖める

日々が一束一束の花に

花になって幸の歌を

幸の歌を歌う

 

恋の火花    命を暖める

日々が一束一束の花に

花になって幸の歌を

幸の歌を詠う

 

聞いているのか

私の瞳が君の心に話しかける時

    君への優しさが私の息になる時

聞いているのか

私の瞳が君の心に話しかける時

    君の優しさが私の息になる時

 

君に捧げる歌を詠う

    君が来るのを待ちわびつつ

君に捧げる歌を詠う

    君が来るのを待ちわびつつ

    君が来るのを待ちわびつつ

 

◆第2連

私の愛しい人

私は君の  私は君の調べ

私の愛しい人

私は君の  私は君の調べ

 

私とともに  闇に囁き

闇に囁きたまえ

私が君になる なりつつある日々

    私が君になりつつある日々

 

君の心にある意味が私に属して欲しい

君の心にある意味が私に属して欲しい

 

君のすべてがわたしのもので

    私のものであるように

君のすべてがわたしのもので

    私のものであるように

心の果てしなさに一つの太陽

 

君のすべてがわたしのもので

    私のものであるように

君のすべてがわたしのもので

    私のものであるように

 

◆第3連

君を愛する

恋焦がれる己に喜ぶ

己自身に入れないほど膨らむ瞬間

君に溢れてゆく

    君に溢れてゆく

 

君以外 誰もいない

君も私以外に    愚痴を聞く者はいるのか

 

君を愛する

恋焦がれる己に喜ぶ

己自身に入れないほど膨らむ瞬間

君に溢れてゆく

    君に溢れてゆく

君に溢れてゆく

    君に溢れてゆく

         君に溢れてゆく

 

君を愛する

恋焦がれる己に喜ぶ

己に喜ぶ

 


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第1連の「君への優しさが私の息になる時」の部分は繰り返して歌われるところでは「君の優しさが私の息になる時」としました。君への優しさは「私」の君への想い、「君の優しさ」は文字通り「君」のわたしへの想い、双方の想いが溶け合った世界を表そうとしました。

第2連の「私の愛おしい人」はあえて「私の愛しい人」としました。より直接的感情表現になるかと思われたからです。

 

2023/11/19  記

 


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ウイグル詩へのメロディー「小さなできごとが重なる夜」

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ウイグル詩へのメロディー

アブドレシット・エリ「小さなできごとが重なる夜」



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エンディング


小さなできごとが重なる夜(エンディング) on Vimeo

 

 

「小さなできごとが重なる夜」


小さなできごとが重なる夜

娘が独り誰かを思う

自身に言い聞かせるように名前を呼ぶ

髪の毛を何本か抜く

ようやく自分が女だと認める

眠りに就く 私はふと話をここで終える

男が窓を大きく開ける

耳を傾けても何も聞こえない

部屋を部屋の中に入れる

外を一杯の茶と思う

溢れ出す

茶を入れた椀は

何も知らないまま

誰かの手に触れる前に壊れてしまう

男は川のように拡がり

桑の木のように眠りに入る

男と女の話が始まる

女の上の布団のような

男を想像しよう

男は欲するがために敗北し

女は欲するがために勝つ

決して来ない敵を待ちながら眠りに入る

男は煙草に火をつける

本を読む

この戦いを忘れるために

近づく朝を思う

 


左の目尻が動き続け

この夜だけを感じる

私に手があるとしても

足は歩き続けても

目的地には辿りつけない足

 

 

詩:アブドレシット・エリ

ウイグル新鋭詩人 選詩集

(芽生えはじめる言葉たち)

ムカイダイス,河合眞編訳

 

 


小さなできごとが重なる夜(全編) on Vimeo


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平和への祈り「思い出」(ウイグル詩へのメロディー)


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ウイグル詩へのメロディー

    「思い出」


思い出(ウイグル詩へのメロディー) on Vimeo

 

 
ヒル・ハムット・イズギル氏のウイグル詩に作曲した小品です。

 ◆平和を祈って作曲しました

2015年4月にウルムチで作られた詩「思い出」の6連ある詩の第2連です。


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原詩は下記


心から過ぎ去りようのない戦争で

ハンサムな兵士は寝言を言って眠れなかった

夢で親指ぐらいの巨人をみていた


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詩集「聖なる儀式」2020年5月初版より

ムカイダイス 河合眞 編訳

作曲 2023/10/14 historynunjin


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今般ハマスイスラエルの間に武力抗争が勃発しました。歴史的に見てくるとこのような抗争(戦争)は気の遠くなるほど過去から継続しています。私はハマスにもイスラエルにも与するつもりはありません。平和を祈り心の中に浮かんだメロディーをタヒル氏のウイグル詩に添え、非常に困難なことですが平和を祈ります。   2023/10/14

 

詩の中に出てくる夢で見ていた親指ぐらいの巨人が、もしかしたら戦争を解決してくれる何者かであるかもしれません。果たしてどんな存在なのでしょうか?

 


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ウイグル詩へのメロディー「祈り」タヒル・ハムット・イズギル


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「祈り」(ウイグル詩、タヒル・ハムット・イズギル)


ウイグル詩へのメロディー「祈り」タヒル・ハムット・イズギル - YouTube

 

作曲者が歌っている歌詞(編詩)

       「祈り」

 

私は一人の賢者の罪びと

毎回両手を顔に近づける度に

私の目の光は沈黙に

沈黙に転じる

私の目の光は沈黙に

沈黙に転じる

 


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手のひらの温もりと息の流れが

寄る辺なく盲目的に合わさった時

私は怒りを無言のまま呑み込む

私は怒りを無言のまま呑み込む

その時私の唇はあてどなく

意味不明に震える

震える


足るを知り感謝を捧げ

願うことを口ずさむ時

私は少しためらった後で

駱駝が針の穴を通ったことを思い出す


私は愛を思い考える

耐え忍ぶことだと

私は愛を思い考える

耐え忍ぶことだと

その形は楕円のよう

その形は楕円のよう

 


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あらゆる方向に

均等に広がる声が

宇宙に遥かに響き

私を不安の世界に晒そうとする

その時


私はいつも両の手のひらで

私の顔を覆い撫でる

粗野にすばやく

両の手のひらで

私は私の顔を撫でる

両の手で


私は心からお父さんと

呼ぶべき方を呼ぼうと

私は心からお父さんと

呼ぶべき方を呼ぼうと

長々と自分自身を見つめる

長々と自分自身を見つめる


私は何と一羽の老いたカラスのよう

私は何と老いたカラスのよう

 


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私は私を長々と見つめ

自分自身を見つめる

長々と自分自身を見つめて

両手で顔を覆い撫でて

佇んでる

その時私の目の光は沈黙に転じる


私は一人の賢者の罪びと

毎回両手を顔に近づける度に

私の目の光は沈黙に

沈黙に転じる

私の目の光は沈黙に

沈黙に転じる


原詩:タヒル・ハムット・イズギル

    2015年11月ウルムチ

(詩集「聖なる儀式」ムカイダイス,河合眞編訳より)

編詩・作曲:historyninjin 2023/6/3

 


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原詩「祈り」タヒル・ハムット・イズギル


毎回

両手を顔に近づける度に

私の目の光が

沈黙に転じる

そう 私は一人の賢者の罪人

怒りを無言のまま呑み込める

掌の温もりと息の流れが

寄る辺なく盲目的に合わさった時には

私の唇がデタラメに意味不明に動く

足るを知る 感謝 願いを言う間で

恥知らずにためらった時には

針の穴から駱駝が通ったことを思い出す

私は愛を耐え忍んで考え

それが楕円形の領域であることを確認する

宇宙のあらゆる方向に均等に広がる声が

私を不安に晒そうとした時に

掌で顔を撫でる

この動きは粗野で素早い

私をせかす理由が一つある

私は「お父さん」と心から呼ぶべく

長々と見つめるべく

一羽の老いたカラスと馴染みにならなければならない


ヒル・ハムット・イズギル 2015年11月ウルムチ

 


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5月15日から作曲を始めたのですが、途中で編詩してそれに作曲をしようと方向転換をして、いろいろ試行錯誤しながら作曲をしてきました。

集中できない期間もあり、メロディーの端緒を掴みながらも、半月ほど時間がかかり、今日ようやく録音に漕ぎ着けることができました。

 

「私は一人の賢者の罪人」をどう解釈したらいいだろうかとか、「私は「お父さん」と心から呼ぶべく、長々と見つめるべく、一羽の老いたカラスと馴染みにならなければならない」が何を意味しているのか、まだはっきりこうだという見地に立つことができたのかわかりませんが、ひとつのメロディーから演繹される哲学的な思索の流れは表現できたのではないかな、とふと思っています。

 


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両手の手のひらをもって、時に顔を撫でるしぐさが、何となく神道の敬拝に雰囲気が似ているなと浅はかな私は思ったりしています。

     2023/6/3記


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顔覆い目は沈黙に佇みしあなたの声も沈黙の世界(なか)


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跪く砂漠の熱を抱く人神の前なる人一人をり

 

 

ウイグルの人たちの祈りのテーマはこれではないかと思います。

「悲しみの永遠の石」

https://ninjinmusic.hatenablog.com/entry/2021/08/14/120253

 

 

 

 

 

ウイグル詩へのメロディー「アブドレヒム」全編


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ウイグル詩へのメロディー「アブドレヒム」全5連,原詩:タヒル・ハムット・イズギル,作曲:historyninjin - YouTube

 

 
「アブドレヒム」 (作曲者が歌っている歌詞)

 

◆第1連 作曲:2023/5/6

 

アブドレヒム アブドレヒム

アブドレヒム アブドレヒム

私たちの暖かい南で   

半円形の眼光がある

それは互いにキスをする それは直線 

それは真っ直ぐに 立つことを

ある売春婦の姿を拝む心がある

ある売春婦の姿を拝む心がある

いかなる時代にも属さない絶対的な時間がある

いかなる時代にも属さない絶対的な時間がある

私たちを絶えず苦しめる醜い愛がある

 

君は朝から晩まで空間を探している

君は朝から晩まで空間を探している

探しながら夜のバザールへ 嘘に辿り着く

半裸の漢族の画家と公衆の愛を探し当てる

またそこから具体化と分析に向かう

大通りを横断する

他人を傷つけないために みずから遠ざかる

ある一つの景色の昔を想像する  初々しい夜に

ある一つの景色の昔を想像する  初々しい夜に

注意深く袋小路を見つめる

立ち位置を決められずに

注意深く袋小路を見つめる

立ち位置を決められずに

子供時代に還る

 

大通りを横断する

他人を傷つけないために みずから遠ざかる

ある一つの景色の昔を想像する

初々しい夜に

注意深く袋小路を見つめる

立ち位置を決められずに

子供時代に還る

 

 

◆第2連 作曲:2023/5/7

 

あの時君の母はとても賢い女性だった

まるで一匹の蚊 あるいは一片の空気に似ていた

彼女はいつも君に「君は私の口から出た」と言った

当時の君はこれが間違いであること

最後の審判の日の一個の石であることを知らなかった

当時の君はこれが間違いであること

最後の審判の日の一個の石であることを知らなかった

君は興味を持ち 恐がり 自身を軽蔑した

必死に多くの蟻を殺そうと殺そうと思った

後に君が出会った人すべてに人すべてに

星が互いに星が互いに殺し合うと言いふらした

 

あの時君の母はとても賢い女性だった

まるで一匹の蚊 

あるいは一片の空気に似ていた

一片の空気に似ていた

 

 

◆第3連 編詩・作曲:2023/5/11

 

空は満ちている 死んだ雀たちで

何度でも繰り返す 不思議なその名前

 

ハイデレヒム アブレヒム ハブデレイム

アブドレイム アブドリヒム

アブドレヒム アブドレヒム

 

ハイデレヒム アブレヒム ハブデレイム

アブドレイム アブドリヒム

アブドレヒム アブドレヒム

 

君のその不思議な名前 空から降ってきた

あと少しもう少しで 時間に追いつける

あと少しもう少しで 時間に追いつける

 

空は満ちている 死んだ雀たちで

何度でも繰り返す 不思議なその名前

 

 

◆第4連 編詩・作曲:2023/5/13

 

多分夢の中で君は見ている

裸のままの母を

恐ろしい見知らぬ 

絶壁を見ている

君は見ている

君は結論づけた 失望に浸かりながら

思い出が変わりゆく まるで獣のよう

鋭く敏感で 一塊りの鳥の糞が

肩に落ちて髪を赤くしたのを感じていた

色が表現できない内容が

まるで強い酒のように君の頭に昇った

私から見れば 君はまるでコレラを 果物を消化して

暖かい身体で虱を養っているように

暖かい身体で虱を養っているように

哀れな憎しみを養っている

哀れな憎しみを養っている

 

多分夢の中で君は見ている

裸のままの母を

恐ろしい見知らぬ 

絶壁を見ている

君は見ている

哀れな憎しみを養いながら

哀れな憎しみを養いながら

 

多分夢の中で君は見ている

裸のままの母を

恐ろしい見知らぬ 

絶壁を見ている

君は見ている

哀れな憎しみを養いながら

哀れな憎しみを養いながら

 

 

◆第5連 編詩・作曲:2023/5/14

 

ああ,アブドレヒム

ああ,私の無二の友 無二の友

ああ,アブドレヒム

君は突然自らの顔を見たくなった

君は自ら自身に語りかける

 

ああ,アブドレヒム

ああ,私の無二の友 無二の友

ああ,アブドレヒム

愚かになった 深みに向かった

自分に話しかける

 

ああ,アブドレヒム

ああ,私の無二の友 無二の友

ああ,アブドレヒム

必死に髭を剃った

怖れに向かっている

その声さえ持ち去ってゆく

その声さえ奪い去ってゆく

竜巻の中で

北は 寒がっている

北は 寒がっていた

 

アブドレヒム アブドレヒム

アブドレヒム アブドレヒム

私たちの暖かい南の

半円形の眼光

直線に真っすぐに立っている

私たちの暖かい南の

 

アブドレヒム アブドレヒム

アブドレヒム アブドレヒム

ああ,アブドレヒム

ああ,私の無二の友 無二の友

ああ,アブドレヒム

君は突然自らの顔を見たくなった

君は自ら自分に語りかける

 

アブドレヒム アブドレヒム

アブドレヒム アブドレヒム

ああ,アブドレヒム

ああ,私の無二の友

アブドレヒム アブドレヒム

アブドレヒム アブドレヒム

 

 

原詩:タヒル・ハムット・イズギル 1994年1月 北京

日本語編訳:ムカイダイス,河合眞

(詩集「聖なる儀式」より)

「アブドレヒム」全5連

編詩・作曲:2023/5 historyninjin

 


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●「アブドレヒム」 編訳原詩

詩:タヒル・ハムット・イズギル 1994年1月 北京

日本語編訳:ムカイダイス,河合眞

(詩集「聖なる儀式」より)

(全部で5連,作曲2023年5月 historyninjin )

 

私たちの暖かい南で

半円形の眼光がある

それは互いにキスをする それは直線 それは真っ直ぐに 立つこと

ある売春婦の姿を拝む心がある

いかなる時代にも属さない絶対的な時間がある

私たちを絶えず苦しめる醜い愛がある

 

君は朝から晩まで空間を探している

探しながら夜のバザールへ 嘘に辿り着く

半裸の漢族の画家と公衆の愛を探し当てる

またそこから具体化と分析に向かう

大通りを横断する

他人を傷つけないために みずから遠ざかる

ある一つの景色の昔を想像する

初々しい夜に

注意深く袋小路を見つめる

立ち位置を決められずに子供時代に還る

 

あの時

君の母はとても賢い女性だった

まるで一匹の蚊 あるいは一片の空気に似ていた

彼女はいつも君に「君は私の口から出た」と言った

当時の君はこれが間違いであること

最後の審判の日の一個の石であることを知らなかった

君は興味を持ち 恐がり 自身を軽蔑した

必死に多くの蟻を殺そうとした

後に君が出会った人すべてに

「星が互いに殺し合う」と言いふらした

 

君はいつもトイレでタバコを吸っていた

トイレですっきりした喜びを味わっていた

心では「私たちもうすこしで時間に追いつくことができる」

「時間の尻尾をもう少しで捕まえることができる」

「私たちもうすこしでおしまい」と考えていた

しかし君は頻繁に自分の名前を正した

まるで君の毎回の失敗が

君のその不思議な名前が原因であるかのように

「ハイデレヒム ハブレヒム アブデレイム

アブドレイム アブドリヒム アブドレヒム」

君は考えていた「名前は本当に空から降ってくるのか」

かの死ぬべき反復する病が君を支配し始めた

君は狂った状態で言った

「空は死んだ雀で満ちている」

「空は死んだ雀で満ちている」

 

時々君は夢の中で

裸のままの母をみているのだろう

恐ろしい見知らぬ所を 絶壁を見ているのだろう

君は結論づけた

娘たちは失望に浸かっている

私たちの思い出が変わってしまうのだろう

君は病気にならず まるで獣のように

鋭く敏感で 一塊りの鳥の糞が

肩に落ちて髪を赤くしたのを感じていた

色が表現できない内容が

まるで強い酒のように君の頭に昇った

私から見れば 君はまるでコレラを 果物を消化して

哀れな憎しみを養っている

まるで暖かい身体で虱を養っているかのように

 

君は突然自らの顔を見たくなった

君は自ら自身に話しかけた

愚かになった 深みに向かった

必死に髭を剃った

怖れに近づいた

声も持って行く竜巻の中で

北は寒がっている

 

アブドレヒム

ああ,私の無二の友

 

 

詩:タヒル・ハムット・イズギル 1994年1月 北京

日本語編訳:ムカイダイス,河合眞

(詩集「聖なる儀式」より)

 


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