「戻る道はない」
Abduqadir Jalalidin (アブドゥカディル・ジャラリディン)氏は、ウイグルを代表する文人の一人で詩人。曲はそのジャラリディン氏の詩につけたメロディー。
ジャラリディン氏はJAIST(北陸先端科学技術大学院大学)教育学部研究生として2002年に一年間日本に学ばれた。今はウイグルの強制収容所にいる。
昨年末、彼が強制収容所内で書いたとされる詩が口伝えで海外にいるウイグル人のところまで届き、その詩に海外のウイグル人作曲家が曲をつけ、ウイグル人の歌手によって歌になり、最近公表された。
ジャラリディン氏の奥様もJAIST 修士課程を出ているが、今は二人とも強制収容所に入れられている。現在、消息は不明。
戻る道はどこにもない
〈日本語歌詞〉
片隅に一人でいる好きな人はいない
真夜中に悪夢にうなされるが
守るすべは何もない
佇んで一人でいる好きな人を夢でまさぐるが
私の手は空を彷徨うばかり
温もりの欠片もない
私はかつて誰だったのか
今の私はどうなってしまったのか
うずくまって一人でいる望むものは何もない
静寂の中に囚われてなすすべが何もない
暗闇の中 心の内を明かせる人を探すが
暗闇の中 心の内を明かせる人を探すが
天の心を知る由もなく恋人を呼ぶ力もない
移り行く季節を小さな小窓が教える
花を見たいと思っても蕾さえ見当たらない
見当たらない
想念が通り抜けた私の骨髄を
想念が通り抜けた私の骨髄を
ここは一体どんなところだろう
ここは何というところだ
来る道があっても戻る道はどこにもない
来る道があっても戻る道はどこにもない
原詩:Abduqadir Jalalidin (アブドゥカディル・ジャラリディン)氏
日本語訳詩:Muqeddes(むかいだいす)さん 2021/1/2 投稿
編詩&作曲:historyninjin 2021/1/3
◆海外にいるウイグル人により作曲され公開された同詩ウイグル語の楽曲、哀切なメロディーとリズム,曲想が秀逸です。
YouTubeが削除されたため、保存していた音声データから曲が聞けるようにリカバリーしました。
片隅にひとりでいる(ウイグルグループの歌) on Vimeo
◆アブドゥカディル・ジャラリディンさんの詩に関する記事(ジャラリディンさんの娘さんのことが出ています)
「父が作者」中国の収容施設から伝わったウイグルの詩 安否を気遣う在日留学生の娘 | 47NEWS
こちらはNHKの報道
“もう黙るのをやめた” 消息絶ったウイグル族知識人 娘の訴え | NHK | WEB特集 | 中国
◆原詩の日本語訳
「戻る道はない」Abduqadir Jalalidin
片隅に独りでいる 好きな人がいない
真夜中悪夢に魘される お守りがない
人生に特別な望みはない
静寂の中で考えに囚われ なす術がない
私はかつて誰だった 今どうした 分からない
心の内を明かすべき人が見つからない
天の気性を知る由もない
恋人のそばに行きたいが 力がない
移りゆく季節を小窓が教える
花と蕾はどうしても見れない
想念が骨髄を通り抜けた
ここはどんな所だ 来る道はあり戻る道はない
訳:ムカイダイス
2021/1/2
تۇتقۇندىكى شائىر، پروفېسسور ئابدۇقادىر جالالىدىننىڭ شېئىرى.
يانارىم يوق
ئابدۇقادىر جالالىدىن
بىر بۇلۇڭدا يېگانىمەن نىگارىم يوق،
كېچىلىرى قارا باستى تۇمارىم يوق،
بۇ ھاياتتىن ئۆزگە يەنە خۇمارىم يوق،
جىمجىتلىقتا خىيال ئەزدى ئامالىم يوق.
مەن كىم ئىدىم نېمە بولدۇم بىلەلمىدىم،
كىمگە دەيمەن دىل سۆزۈمنى دېيەلمىدىم،
يا پەلەكنىڭ خۇي پەيلىنى سېزەلمىدىم،
يار قېشىڭغا باراي دەيمەن قارارىم يوق.
پەسىللەرنى بىلىپ تۇردۇم بۇرجەكلەردىن،
ھېچبىر خەۋەر ئالالمىدىم چېچەكلەردىن،
بۇ سېغىنىش ئۆتۈپ كەتتى سۆڭەكلەردىن،
قانداق يەر بۇ بارارىم بار يانارىم يوق.