ウイグル詩へのメロディー「祈り」タヒル・ハムット・イズギル - YouTube
作曲者が歌っている歌詞(編詩)
「祈り」
私は一人の賢者の罪びと
毎回両手を顔に近づける度に
私の目の光は沈黙に
沈黙に転じる
私の目の光は沈黙に
沈黙に転じる
手のひらの温もりと息の流れが
寄る辺なく盲目的に合わさった時
私は怒りを無言のまま呑み込む
私は怒りを無言のまま呑み込む
その時私の唇はあてどなく
意味不明に震える
震える
足るを知り感謝を捧げ
願うことを口ずさむ時
私は少しためらった後で
駱駝が針の穴を通ったことを思い出す
私は愛を思い考える
耐え忍ぶことだと
私は愛を思い考える
耐え忍ぶことだと
その形は楕円のよう
その形は楕円のよう
あらゆる方向に
均等に広がる声が
宇宙に遥かに響き
私を不安の世界に晒そうとする
その時
私はいつも両の手のひらで
私の顔を覆い撫でる
粗野にすばやく
両の手のひらで
私は私の顔を撫でる
両の手で
私は心からお父さんと
呼ぶべき方を呼ぼうと
私は心からお父さんと
呼ぶべき方を呼ぼうと
長々と自分自身を見つめる
長々と自分自身を見つめる
私は何と一羽の老いたカラスのよう
私は何と老いたカラスのよう
私は私を長々と見つめ
自分自身を見つめる
長々と自分自身を見つめて
両手で顔を覆い撫でて
佇んでる
その時私の目の光は沈黙に転じる
私は一人の賢者の罪びと
毎回両手を顔に近づける度に
私の目の光は沈黙に
沈黙に転じる
私の目の光は沈黙に
沈黙に転じる
原詩:タヒル・ハムット・イズギル
2015年11月ウルムチ
(詩集「聖なる儀式」ムカイダイス,河合眞編訳より)
編詩・作曲:historyninjin 2023/6/3
原詩「祈り」タヒル・ハムット・イズギル
毎回
両手を顔に近づける度に
私の目の光が
沈黙に転じる
そう 私は一人の賢者の罪人
怒りを無言のまま呑み込める
掌の温もりと息の流れが
寄る辺なく盲目的に合わさった時には
私の唇がデタラメに意味不明に動く
足るを知る 感謝 願いを言う間で
恥知らずにためらった時には
針の穴から駱駝が通ったことを思い出す
私は愛を耐え忍んで考え
それが楕円形の領域であることを確認する
宇宙のあらゆる方向に均等に広がる声が
私を不安に晒そうとした時に
掌で顔を撫でる
この動きは粗野で素早い
私をせかす理由が一つある
私は「お父さん」と心から呼ぶべく
長々と見つめるべく
一羽の老いたカラスと馴染みにならなければならない
5月15日から作曲を始めたのですが、途中で編詩してそれに作曲をしようと方向転換をして、いろいろ試行錯誤しながら作曲をしてきました。
集中できない期間もあり、メロディーの端緒を掴みながらも、半月ほど時間がかかり、今日ようやく録音に漕ぎ着けることができました。
「私は一人の賢者の罪人」をどう解釈したらいいだろうかとか、「私は「お父さん」と心から呼ぶべく、長々と見つめるべく、一羽の老いたカラスと馴染みにならなければならない」が何を意味しているのか、まだはっきりこうだという見地に立つことができたのかわかりませんが、ひとつのメロディーから演繹される哲学的な思索の流れは表現できたのではないかな、とふと思っています。
両手の手のひらをもって、時に顔を撫でるしぐさが、何となく神道の敬拝に雰囲気が似ているなと浅はかな私は思ったりしています。
2023/6/3記
顔覆い目は沈黙に佇みしあなたの声も沈黙の世界(なか)
跪く砂漠の熱を抱く人神の前なる人一人をり
ウイグルの人たちの祈りのテーマはこれではないかと思います。
「悲しみの永遠の石」
https://ninjinmusic.hatenablog.com/entry/2021/08/14/120253