Ninjin Music Blog

オリジナル楽曲の紹介やカバー曲を投稿していきます

星降る夜にあなたを想ふ


f:id:historyninjin:20230711025315j:image

 

「星降る夜にあなたを想ふ」


f:id:historyninjin:20230711025125j:image

星降る美しい夜の空が

生けとし生けるものを

優しく包む

 

一つの命の温かな光

過去と未來が結ばれてゆく

あなたのその手で

やがて昇る光に愛を捧げよう


f:id:historyninjin:20230711025138j:image

過去と未來が結ばれてゆく

あなたのその手で

やがて昇る光に愛を歌おう

 

星降る美しい夜の空が

生けとし生けるものを

優しく包む

 

作詞・作曲 2021/5/4 historyninjin

 


星降る夜の空にあなたを想ふ.mp4 on Vimeo


f:id:historyninjin:20230711025158j:image

 


f:id:historyninjin:20230711030325j:image

 


f:id:historyninjin:20230711030412j:image

 


f:id:historyninjin:20230711030453j:image


f:id:historyninjin:20230711030718j:image

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウイグル人物語

ウイグル人物語◆

 

原詩(日本語) ムカイダイス

編詩・作曲 2020/4/20 historyninjin

 


ウイグル人物語 on Vimeo

 

画像はおそらく荒野のイエス・キリストを描いたもののようだが、作曲者はイエス・キリストには全く拘泥せず、ただ悲しみと苦悩の象徴としてこれがいいなと思い選んだものである。原詩は日本語で綴られた短く素朴だが、落ち着いた心でしたためられた静かな詩である。

 

トランプ政権末期にポンペオ国務長官がはっきり、ウイグル人に対する中国の大量虐殺、強制労働並びに強制的な臓器摘出、強制的な妊娠中絶、ウイグル語の禁止ならびに思想改造などを完全に「ジェノサイド」と認定し、ウイグル問題に対する世界の思想的政治的潮流が大きく変化するようになった。

 

時にユダヤ人のホロコーストと比較して論じられることもあるが、そのような観点から考えるならば、現代の人類の十字架を背負って新たな世界へと生まれ変わるために犠牲の子羊のような立場に立たせられたのがウイグル人と見なせないこともないが、それはキリスト教神学が描き出す一種のドグマ的解釈であり、強制することには無理がある。そしてそれはあまりにも残酷なことであり不当かつ不条理なことだ。ウイグルのジェノサイドの問題は粛然として人間の為意性としてどうなのかという人権問題として提起されなければならないと思う。

 

そのような立場にウイグル人を意図的かつ集団本能的に追い込んでいるのは、事実上中国(漢人)である。その残虐な仕打ちを、むかいだいすさんの詩は訥々と、辿々(たどたど)しくも語っている・・・。

 

ムカイダイスさんの詩「ウイグル人物語」(原詩)

 

闇夜に気の触れし者は
枯れ草の茎のごとく
哀しき物語を語る

私は
乱れを知らぬ心には見えぬ者
天空を彷徨いし者
時から取り残されし者
古より生きし者
よるべなき者たちに呼ばれし者
老いた母が語り
子らを
闇夜で震え上がらせる
始まりも終わりもない
ひとつの物語なのだ

2020/4/20

 

 

ウイグル人物語」(編詩し、作曲者が歌っている歌詞)

 

ここに一つの物語
始まりも終わりもない
老いた母が語り
子らを
闇夜で震えあがらせる
一つの悲しい
物語がある

ここに一つの物語
始まりも終わりもない
老いた母が語り
子らを
闇夜で震えあがらせる
一つの悲しい
物語がある

私は乱れを知らぬ心には
見ることはできない
私は天空をあてどなく
さ迷ってきたよ

時から取り残されし者
いにしえより生きてきた者

寄る辺ない者たちに
見つめられ
呼ばれし者
寄る辺ない者たちと
手を携えてきた者

私は闇の夜に
気のふれし者
枯れ草のように
闇の夜をさ迷いし

悲しい一つの物語
悲しい一つの物語
私は一つの物語

悲しい一つの物語
悲しい一つの物語
語り尽くせない物語

ここに一つの物語
始まりも終わりもない
老いた母が語り
子らを
闇夜で震えあがらせる
一つの悲しい
物語がある

 

編詩・作曲 2020/4/20 historyninjin

 

✳️同じタイトルでもう一つの作品があるので、そちらをウイグル人物語(2)としました。↓

https://ninjinmusic.hatenablog.com/entry/2021/09/11/190617

 

夜の霧


f:id:historyninjin:20220903231228j:image

 

ウイグル語の表記について

ウイグル語は右から左に表記されますが、本文中において単純にコピペした場合左から右の表記になってしまいますのでお詫びします。その部分だけ取り出してリンクを貼ることを(一部ですが)今回試みてみました。ウイグル語を読むことのできる方は不快感を覚えるかと思いますが、何卒ご了承ください。よい方法がありましたらご教示ください。

                            historyninjin

 


夜の霧 on Vimeo

 

◆アリーシール・ナワーイーの「夜の霧」◆

 

・原詩:アリーシール=ナワーイー(ティムール朝時代に、トルコ語での文学作品を残した。2021/2/9が生誕580年の記念日)

・日本語訳詩:ムカイダイスさん(お便り2021/2/9)
・編詩・作曲:historyninjin (録音 2021/2/13)
※作曲しながら無題の詩に「夜の霧」というタイトルをつけました。

                          ◆

愛する人を失った悲しみ

その悲しみの中で人は何を思うのだろうか

愛する人に会いたい

愛する人のそばに行きたい    と思うだろう

「今宵私はナワーイーのように

泣きながら死んでいく」・・・とは

私が死ぬことによって唯一

愛する人に会うことができるからという

意味だろう

人の魂の根源にある思いは

580年前に生まれた人だろうが

そうでなかろうが    変わらないと言える

                          ◆

 

    「夜の霧」(歌詞)

 

太陽が空を去り暗闇が覆うと
思ってはならぬ
あの人が去って私の嘆きとため息が
霧になっただけ

夜になった
しかし
闇を照らす私の
私の光はまだやって来ない
私の命は哀しみの炎の
炎の周りを蛾のように飛び回り
自らを燃やす

引き裂いた胸元から
傷痕が見えてもいい
心に隠した傷痕が見えなければいい

あの人を想うと
真珠のような泪が
泪がアム川のように流れる
私の目の泪の粒が
夜空の
夜空の星のように
この世を飾るだろう

夜空は星に満ちた太陽が馬から降りた為に
私の光り輝く太陽はまだ太陽から降りようとしない
太陽から降りようとはしない

世界を闇に変えてしまった
暗闇の中に私は命を落とすのか
ああ蘇りの水よ
お前の元に導いてくれる
預言者はいるのだろうか

太陽が空を去り暗闇が覆うと
思ってはならぬ
あの人が去って私の嘆きと溜息が
霧になっただけ

今宵私はナワーイーのように
泣きながら死んでゆく
私の恋人が来てくれるのならば
泣くことはもうあるまい

私の恋人が
来てくれるのなら

太陽が空を去り暗闇が覆うと
思ってはならぬ
あの人が去って私の嘆きと溜息が
霧になっただけ

今宵私はナワーイーのように
泣きながら死んでゆく
私の恋人が来てくれるのならば
泣くことはもうあるまい

太陽が空を去り暗闇が覆うと
思ってはならぬ
あの人が去って私の嘆きと溜息が
霧になっただけ

今宵私はナワーイーのように
泣きながら死んでゆく
私の恋人が来てくれるのならば
泣くことはもうあるまい

私の恋人が
来てくれるのなら

 

編詩・作曲 historyninjin 2021/2/10

録音 2021/2/13

 

 

※ムカイダイスさんのお便り(下の方に改めて全文を貼り付けておきます。ここでは日本語訳した詩の部分)

 

アリーシール=ナヴァーイー(またはナワーイー)

 

夜になった しかし 闇を照らす私の光はまだやって来ない
私の命は蛾のように哀しみの炎の周りを飛び回り自らを燃やす
引き裂いた胸元から傷痕が見えてもいい
心に隠した傷痕が見えなければいい

あの人を想うと 真珠のような泪がアム川のように流れる
私の泪の粒が夜空の星のようにこの世を飾るだろう
夜空は星に満ちた 太陽が馬から降りた為に
私の光り輝く太陽はまだ太陽から降りようとはしない

世界を闇に変えてしまった暗黒の中に私は命を落とすのか
ああ 蘇りの水よ お前の元に導いてくれる預言者はいるのだろうか

太陽が去り空に暗闇が覆うと思ってはならぬ
あの美しい人が去り 私の嘆きと溜息が霧になっただけ

今宵 私はナワーイーのように泣きながら死んでいく
私の恋人が来てくれるなら泣くこともあるまい

 

 

ウイグル語のテキスト

https://docs.google.com/document/d/1dCvT_uK9PfbBu3wcXmaxXpYhh56Nejeq5U95O_UXUqg/edit?usp=drivesdk

 

 

●ムカイダイスさんからのお便り

 

本日2月9日は、ティムール朝時代に、トルコ語での文学作品を残したトルコイスラーム文化を代表する文学者アリーシール=ナヴァーイー生誕580年の記念日。そして1901年2月9日にトルファンで生まれ1933年3月13日に盛世才によって32歳の若さで殺されたウイグルの詩人Abduxaliq Uyghur アブドハリック・ウイグルの誕生日でもある。彼の詩はウイグル人の不屈な魂そのものを代表する言われている。
アブドハリック・ウイグルとアリーシール=ナヴァーイーの詩を日本語ウイグル語で皆さまに。

 

بۈگۈن ئەلىشىر ناۋايى تەۋەللۇتىنىڭ 580 ،
شۇنداقلا بالدۇر ئويغانغان ئوت يۈرەك شائىرىمىز ئابدۇخالىق ئۇيغۇر تەۋەللۇتىنىڭ 120 يىللىق خاتىرە كۈنى . مەن بۈگۈن ئىشلىرىمنى تۈگىتىپلا بۇ ئىككى ئەدىپنىڭ ئەسەرلىرىنى ئوقۇدۇم ، ئۇلارنىڭ رۇھىغا دۇئا قىلدىم . ئابدۇخالىق ئۇيغۇرنىڭ شېئىرلىرى بىزنىڭ بىر دەقىقىمۇ قارشىلىقنى ئۇنۇتمىغان ، ئەركىنلىك ئۈچۈن ئىسسىق جېنىمىزنى بېغىشلىيالايدىغان جەڭگىۋارلىقىمىزنىڭ تومۇرلىرىمىزدا ئېقىۋاتقان ئىسپات تامغىسىدەك ھىس قىلدىم ! ئەلىشىر ناۋايىنىڭ گۈزەل شېئىرىدىن بىرنى شۇنداقلا ئابدۇخالىق ئۇيغۇرنىڭ "ئاچىل"ناملىق داڭلىق شېئىرىنى ياپۇنچە تەرجىمىسى بىلەن ھوزۇرۇڭلارغا سۇنىمەن !

 

アリーシール=ナヴァーイー

 

夜になった しかし 闇を照らす私の光はまだやって来ない
私の命は蛾のように哀しみの炎の周りを飛び回り自らを燃やす
引き裂いた胸元から傷痕が見えてもいい
心に隠した傷痕が見えなければいい

あの人を想うと 真珠のような泪がアム川のように流れる
私の泪の粒が夜空の星のようにこの世を飾るだろう
夜空は星に満ちた 太陽が馬から降りた為に
私の光り輝く太陽はまだ太陽から降りようとはしない

世界を闇に変えてしまった暗黒の中に私は命を落とすのか
ああ 蘇りの水よ お前の元に導いてくれる予言者はいるのだろうか

太陽が去り空に暗闇が覆うと思ってはならぬ
あの美しい人が去り 私の嘆きと溜息が霧になっただけ

今宵 私はナワーイーのように泣きながら死んでいく
私の恋人が来てくれるなら泣くこともあるまい

 

تۈن ئاقشام بولدىيۇ ، كەلمەس مېنى شەمئى شەبىستانىم ،
بۇ ئەندۇھ ئوتىدىن ھەر دەم كۆيەر پەرۋانىدەك جانىم .

نى غەم كۆرگۈزسە كۆكسۈم پارەسىن چاكى گىرىبانىم ،
كۆرۈنمەس بولسە كۆكسۈم يارەسىدىن داغى پىنھانىم .

غەمىدىن دۇررى مەكنۇندەك سىرىشكىم ئاقتى جەيھۇندەك ،
مۇزەييەن قىلدى گەردۇندەك ، جەھاننى ئەشكى غەلتانىم .

فەلەك ھەم تولدى كەۋكەبدىن ، قۇياش ھەم تۇشتى ئەشھەبتىن ،
كېلىپ تۇشمەس بۇ مەركەبدىن مېنىڭ خۇرشىدى رەخشانىم .

جەھاننى زولمەت ئەتتى چەھ ، بۇ زۇلمەت ئىچرە ئۆلگۈم ، ۋەھ ،
ماڭا بولساڭ نى خىزرى رەھ ، نىتىپ ئەي ئابىھەيۋانىم .

دىمە كۆكتىن قۇياش كەتمىش ، فەلەككە تىيرەلىك يەتمىش،
ئۇل ئاي ھەجرىدە تار ئەتمىش فەلەكنى دۇدى ئەفغانىم .

نەۋائى كەبى ھىجراندىن بۇ ئاقشام ئۆلدۈم ئەفغاندىن ،
غەمىم يوق بولسا يۈز جاندىن ، يېتىپ گەر كەلسە جانانىم .

(مەنىسى : كەچ بولۇپ كەتتى ، ئەمما كېچەمنى يورۇتقۇچى چىرىغىم كەلمىدى . شۇڭا بۇ قايغۇ ئوتىدا جېنىم پەرۋانىدەك كۆيۈپ كېتىۋاتىدۇ .
ياقامنىڭ يىرتىغى تىلىنغان كۆكسۈمنى كۆرسىتىپ قويۇشتىن غەم قىلمايمەن . لېكىن يۈرۈگۈمنىڭ يارىسىدىن يوشۇرۇن داغلىرىم كۆرۈنۈپ قالمىسا بولاتتى .
ئۇنىڭ غېمىدە مەرۋايىتتەك ياشلىرىم ئامۇ دەرياسىدەك ئاقتى ، بۇ ياش تامچىلىرىم جاھاننى يولتۇزلۇق ئاسماندەك بېزىدى . پەلەك يۇلتۇزغا تولدى . قۇياشمۇ دۇلدۇلدىن چۈشتى . بىراق ، مېنىڭ نۇرلۇق قۇياشىم ئاتتىن چۈشكىنى يوق .
قاراڭغۇلۇق جاھاننى قۇدۇققا ئايلاندۇردى . بۇ زۇلمەت ئىچىدە ئۆلىدىغان ئوخشايمەن . مېنى ساڭا باشلايدىغان خىزىر بارمۇ ؟
كۆكتىن قۇياش كېتىپ جاھاننى قاراڭغۇلۇق باستى دىمە ، ئۇ ئاينىڭ پىراقىدا چەككەن ئاھىمنىڭ تۈتۈنى جاھاننى قارايتىۋەتتى ·
بۇ كېچە ناۋايىغا ئۇخشاش پىغان بىلەن ئۆلدۈم ، ئەگەر جانانىم كەلسە يۈز جېنىم بولسىمۇ بەرسەم مەيلى ئىدى )

 

咲け

アブドハリック・ウイグル

この詩の歌は↓

https://ninjinmusic.hatenablog.com/entry/2021/09/18/170758

 

 

私の花が咲こうとしている
あなたの髪を飾ろうとしている
あなたの想う恋の炎が
心身を包み込もうとしている

恋の痛みで心が血の塊になった
臼で碾かれて粉になった
お前を恐れて 硬い石でさえ
個体でいられず 砂になった

若き求めよ 眠るな
恋の道で足枷になるな
恋のために命を捧げ
その歩みに千両の金貨をあげよう

情熱の花よ 咲け
勇気の道よ 開け
恋人のために命を捧げよ
死はどうせいずれかは訪れる

死か 生か
恋の花よ 咲け

 

ئاچىل

گۈلۈم ئاچىلاي دەيدۇ،
باشقا سانچىلاي دەيدۇ.
يارىمنىڭ يۈرەك ئوتى،
تەنگە يامىشاي دەيدۇ.

يارىم ماڭا ناز قىلۇر،
كۈلۈپ مېنى ماز(مەست)قىلۇر.
يار قەدرىنى بىلمەيسەن،
زېمىستاننى ياز قىلۇر.

يار دەردىدە خۇن بولدۇق،
تۈگمەنلەردە ئۇن بولدۇق.
قورقۇنچىڭدىن قاتتىق تاش،
بىرلىشەلمەي قۇم بولدۇق.

ياش تەلەپلەر ئۇخلاشما،
يار يولىدا پۇتلاشما.
يارىم ئۈچۈن جان پىدا،
قەدىمىڭگە مىڭ تىللا.

غەيرەت گۈلۈم ئاچىلغىل،
ھىممەت گۈلۈم ئاچىلغىل.
يارىم ئۈچۈن بەرسەم جان،
قاچان بولسا بىر ئۆلۈم.

يا ئۆلۈم، يا كۆرۈم،
يارىم ئاچىلغىن.

قۇمۇل دېھقانلار قوزغىلىڭى ھارپىسىدا ئابدۇخالىق ئۇيغۇر «ئاچىل» ناملىق شېئىرنى يازىدۇ. كېيىنكى چاغلاردا بۇ شېئىر خەلق ناخشىسىغا ئايلىنىپ ، پۈتۈن
ئۇيغۇر دىيارىغا تارقىلىدۇ.

 

 

聖なる儀式

    ◆聖なる儀式◆

・原詩: Tahir Hamut Izgil 氏
・日本語訳詩:河合眞氏&ムカイダイスさん
・編詩作曲:historyninjin 2021/3/5 
・録音:2021/3/7

 


聖なる儀式 on Vimeo

 

 

「聖なる儀式」(歌詞)

 

支配された一条の
光が解けていくにつれて
個々の容貌が現れてくる

支配された一条の
光が解けていくにつれて
個々の容貌が現れてくる

風が淫らに両手を広げて
陽光を巻き込んでゆく
私は黄昏を舐めまわし
穴を開ける

通りの灯りは時間の一番上にいる
蜘蛛たちの巣は宙に垂れ下がり
私は雷と握手する

歩行者天国を行く
暗闇から暗闇へと
口許に鳥の羽を咥えながら
樹木の枝に吊るされた乳房が微笑む
私の足が世紀を震わせる
己を震わせる
街を震わせる

頭蓋骨は進化を遂げ原型を失う
服は哀しみの声を上げている
これは真夏
これは自由
それとも忘却か
多くの布切れが
地上で輝く

引き摺られる息をする無数の
霞んだ光の束が地上に
生える
集まる
沈黙に
集まる
沈黙に
浸る
浸る

私は一杯の水に向かって泡を請う
私は一塊のごみに向かって
すみれの懐かしい色を請う

蒸し暑い街路と
永遠に見知らぬままの道
穏やかな発掘
一回の廻り舞台
夜の声は己が吐き出した輪郭を呑む
一滴の清らかな水が
蛇の心臓を呑みこんだかのように
鉄枠で塞がれた窓が
目の前で膨らむ

真っ黒なガラスは喘ぎと祈りに耳を傾ける
文字は死ぬ
画像はバラバラになってゆく
啜り泣きと叫びで充満した頭が
厳かに地面に落ちる
手は汗ばんで
握りしめる
手は汗ばんで握りしめる

解放
流亡
死体の匂いが夜空を彷徨う
蜘蛛の巣は漂流する
一面白くぬられた仮面

記憶は愛に似ている
周りを見渡す

弱った身体を抱きしめてみたくなる
一枚の紙が顔の上で広がる
突然あばら骨が一本欠けていることを気づき
私は無数回聖なる儀式を
行い
行う
行うべきことを
気づく

小鳥が集まる場所には
遺言を埋めて火を熾す
虚無と夢の中で火打石を使って
火を熾す
無を祝宴に変える言葉を地面に敷いて
暗黒で傷口を
塞いで欲望を叶える
暗黒で傷口を
塞いで欲望を叶える

これが稲妻
定め
滅亡
方向感覚を失う
稲妻と握手する
見えることを止めたかのように
捨てられた感覚の中にいるかのように
樹木は街中から消える

私は軽率に近づく
力比べを拒否する
夜の声が世に生きる
惨めな人々を凌駕する

夜の声が世に生きる
惨めな人々を凌駕するから
私は無数回聖なる儀式を行う
私は無数回聖なる儀式を行う 

私は軽率に近づく
力比べを拒否する
夜の声が世に生きる
惨めな人々を凌駕するから
私は無数回聖なる儀式を行う
私は無数回聖なる儀式を行う

 

※「真っ黒なガラスは」のところですが,本人はガラスと発音したつもりですが「カラス」と聞こえます。すみません。それと「それとも忘却か」のところですが平仮名で楽譜を書いていてうっかり「ぼうぎゃく」と濁点をいれそのまま歌ってしまいました。心からお詫び致します。(楽譜を清書する根気が続かず、下書きのまま録音に入ってしまったためのミスです。本当にすみません)

 

●むかいだいすさんのお便り(2021/2/20)

تالانتلىق شائىرىمىز تاھىر ھامۇتنىڭ ياپۇنچە شېئىرلار توپلىمى "ئىلاھى مۇراسىم "دىكى شېئىرلارنىڭ گۈزەللىكى ھەققىدە تەرجىمان بولۇش سۈپىتىم بىلەن گۈل تاپشۇرۇپ ئالدىم .
رەھمەت تاھىر 😊🤭كېيىن مەن مەرھابا ئىككىڭلارغا تەقدىم قىلارمەن 😊

ウイグルを代表する若手トップ詩人Tahir Hamut Izgil の詩集の題名になった名詩を皆様に!
詩集は河合眞先生とムカイダイス共訳です。

 

聖なる儀式

 

支配された一条の光が溶けていくにつれて
個々の容貌が現われてくる
風が淫らに両手を広げて
陽光を巻き込んでいく
私は黄昏を舐めまわし穴を開ける
通りの灯りは時間の一番上にいる
蜘蛛の巣は宙に垂れ下がり
私は雷と握手する
歩行者天国を行く
暗闇から暗闇へ
口許に鳥の羽を咥えながら
樹木の枝に吊るされた乳房が微笑む
私の足が
世紀を震わせる
  己を震わせる
    街を震わせる
頭蓋骨は進化を遂げ原型を失う
服は哀しみの声を上げる
これは
   真夏
    自由
      それとも忘却か
多くの布切れが地上で
輝く
  引き摺られる
       息をする
無数の霞んだ光の束が地上に
生える
   集まる
      沈黙に浸る
私は一杯の水に向かって泡を請う
私は一塊のごみに向かってすみれ色を請う
蒸し暑い街路
永遠に見知らぬままの道
     穏やかな発掘
     一回の廻り舞台
夜の声は己が吐き出した輪郭を呑む
一滴の清らかな水が蛇の心臓を呑みこんだかのように
鉄枠で塞がれた窓が目の前で膨らむ
真っ黒なガラスは喘ぎと祈りに耳を傾ける
文字は死ぬ
画像はバラバラになる
啜り泣きと叫びで充満した頭が
厳かに地面に落ちる
手は汗ばむ
解放
流亡
死体の匂いが夜空を彷徨う
蜘蛛の巣は漂流する
一面の白色は
仮面
   記憶
       愛に似ている
周りを見渡す
弱った身体を抱きしめたくなる
一枚の紙が顔の上で広がる
突然あばら骨が一本欠けていることを気づく
私は無数回聖なる儀式を行うべき
小鳥が集まる場所に遺言を埋めて
虚無と夢の中で火打石を使って火を熾す
無を祝宴に変える
言葉を地面に敷いて
暗黒で傷口を塞いで
欲望を叶える
これが
    稲妻
      定め
        滅亡
方向感覚を失う
稲妻と握手する
見えることを止めたかのように
捨てられた感覚の中にいるかのように
樹木は街中から消える
私は軽率に近づく
力比べを拒否する
夜の声が世に生きる惨めな人々を凌駕する

 

1993年6月 ウルムチ

 

ئىلاھىي مۇراسىم

بويسۇندۇرۇلغان بىر پارچە نۇر ئېرىمەكتە
چىرايلار كەينىمدىن ئايان بولىدۇ
شاللاق شامال قۇچاق ئاچىدۇ
قۇياش نۇرىنى يۆگەپ كېتىدۇ
تىلىم گۈگۈمنى يالاپ تېشىدۇ
يول چىرىغى ۋاقىتنىڭ ئەڭ ئۈستىدە
ئۆمۈچۈك تورى كۆككە يېيىلغان
مەن چاقماق بىلەن قول ئېلىشىمەن
پىيادىلەر يولىدا ماڭىمەن
قاراڭغۇلۇقتىن قاراڭغۇلۇققا
ئاغزىمدا بىر تال قۇش پېيى چىشلەگلىك
دەرەخلەرگە ئېسىلغان ئەمچەكلەر كۈلۈمسىرەيدۇ
پۇتۇم
ئەسىرنى تىترىتەر
ئۆزۈمنى تىترىتەر
شەھەرنى تىترىتەر
باش سۆڭىكىم ئىپتىدائىي شەكلىنى يوقىتىدۇ
كېيىملىرىم ئېچىنىشلىق ئاۋاز چىقىرىدۇ
بۇ
تومۇز
ئەركىنلىك
ياكى ئۇنۇتۇش؟
نۇرغۇنلىغان پارچە لاتىلار يەر ئۈستىدە
چاقنايدۇ
سۈرۈلىدۇ
نەپەس ئالىدۇ
نۇرغۇنلىغان خۈنۈ سىزىقلار يەر ئۈستىدە
ئۆسىدۇ
يىغىلىدۇ
سۈكۈتكە چۆمىدۇ
مەن بىر ئىستاكان سۇدىن مازغاپ تىلەيمەن
مەن بىر دۆۋە ئەخلەتتىن ھالرەڭ تىلەيمەن
كوچا تىنجىق
ھەر بىر يول مەگگۈلۈك ناتونۇش
بىر قېتىملىق ئاستا قېزىش
بىر مەيدان ئايلانما ئويۇن
كېچە ئۈنى شەھەر قۇسقان سىمانى يۇتۇپ تاشلايدۇ
خۇددى بىر تامچە سۈزۈك سۇ يىلان يۈرىكىنى يۇتقاندەك
ئېچىلماس تۆمۈر پەنجىرىلەر كۆز ئالدىمدا كۆپىدۇ
قاپقارا ئەينەكلەر ھاسىراشنى،دۇئانى ئاڭلايدۇ
ھەرپلەر ئۆلۈپ كەتكۈسى
رەسىملەر پاك-پاكىز پارچىلانغۇسى
مېڭەمگە لىق تولغان چىرقىراش ۋە ئېسەدەش
يەنە بىر قېتىم ھەيۋەت بىلەن يەرگە چۈشىدۇ
قولۇم تەرلەيدۇ
بۇ بىر خىل قۇتۇلۇش
بىر خىل سۈرگۈن
جەسەتلەرنىڭ پۇرىقى كېچە ئاسمىنىنى كېزىدۇ
ئۆمۈچۈك تورى ئۇنىڭ ئاستىدا لەيلەيدۇ
ئۇ بىر پارچە ئاق رەڭ
چۈمبەلگە ئوخشاش
ئەسلىمىگە ئوخشاش
سۆيگۈگە ئوخشاش
ئەتراپقا قارايمەن
ئاجىز تېنىمنى قۇچاقلىغۇم كېلىدۇ
بىر پارچە قەغەز يۈزۈمدە يېيىلىدۇ
تۇيۇقسىزلا بىر تال قوۋۇرغامنىڭ كاملىقىنى ھېس قىلىمەن
مېنىڭچە
مەن نۇرغۇن قېتىم ئىلاھىي مۇراسىم ئۆتكۈزۈشۈم كېرەك
قۇشلار توپلىشىدىغان جايغا ۋەسىيىتىمنى كۆمۈشۈم
مەۋھۇملۇق ۋە چۈش ئىچىدە چاقماق تاشنى ياندۇرۇشۇم
يوقلۇقنى تويغا ئايلاندۇرۇشۇم
تىلنى يەرگە ياتقۇزۇشۇم
قاراڭغۇلۇقنى يارام ئېغىزىغا تىقىشىم
ھەۋەسلەرنى قاندۇرۇشۇم كېرەك
مانا بۇ
چاقماق
تەقدىر
بەرباتلىق
مەن تەرەپ تۇيغۇمنى يوقىتىمەن
چاقماق بىلەن قول ئېلىشىمەن
كۆرۈش سەزگۈم توختاپ قالغاندەك
تاشلىنىش ئىچىدە داۋاملىق تۇرىمەن
دەرەخلەر كوچىدىن يوقىلىدۇ
مەن يەڭگىللىككە يېقىنلىشىمەن
كۈچ سىنىشىشنى ئىنكار قىلىمەن
كېچىنىڭ ئۈنى پانىي ئالەمدىكى ئەبگاھ كىشىلەر توپىدىن ھالقىپ كېتىدۇ

1993-يىل ئۈرۈمچى

 

 

●historyninjinより

ヒル・ハムット・イズギル氏の「聖なる儀式」について書いておきます。

 

【1】作曲並びにファイル編集の経緯

 

はじめは詩の難解さに手を出すことが出来ず10ヶ月ほど敬遠していたのですが、むかいだいすさんのお便りを目にしたことをきっかけにもう一度詩を眺めて数日するうち、あるほんのふとした瞬間にこの難解極まりないと思われた詩の中から一片のメロディーが響いてきたのです。


歌の出だしのほんの1~2小節の歌詞のない音だけのメロディーでした。
しかもYouTubeでニュース解説か何かを見ている最中でした。聞こえた瞬間、側にあったギターを引き寄せてノートにメロディーを書き留め、コードをつけました。


それからが大変。その後に続く詩の言葉にメロディーをつける戦いが火蓋を切って落とされたのです。

一度ならずこの10ヶ月間作曲できないなと思って敬遠してきた言葉たちとの戦いでした。


こちらの武器は、心に浮かび上がってきた1~2小節の動機的なメロディーだけ。敵は、今まで作曲を断念してきたのだから、とても無理という諦めに近い重くのしかかってくる思い。


そのようなところから、一小節、一小節、一言、一言にメロディーがつきはじめました。あるところは怒涛のようにメロディーが押し寄せてきたりすることもありました。そのようにして作曲が始まっていったのです。


作曲する時間帯はこの「聖なる儀式」の場合、どういうわけか決まって、仕事を終えて帰って来て、いろいろやって休まなければと思う11時ごろから始まりました。

毎晩2~3時間ずつ、3日かかって、作曲(メロディーライン)が完成。

一段落もつかの間、間断なくわき上がってくるメロディーラインの調整や歌詞の見直し、訂正や補足や補修の連続・・・。

ですから下書きの楽譜は訂正や補足の書き込みの連続。普通はきちんと清書するのですが、今回はしませんでしたというかできませんでした。どうしてかというと、前出の「愛は嘘からはじまる」の時、楽譜を綺麗に清書するだけで2日もかかったので、今回は気が滅入ってしまいそうするだけの根気と体力が続かなかったのです。

 

見切り発車のような状態でしたが録音へ。

 

全曲を通して演奏することは不可能(?)でした。自分が作曲したのに、まだメロディーラインを把握していなかったり、音程を間違ったりして、何度も何度も部分的に録音をし直しました。

そうしながら、何とか最後のフレーズまで録音しました。ファイルをパソコンに転送して取り出し、失敗したところをカットしながら、その次に続く音声データとなるべく切れ目が生じないようにする神経を使う微細な編集作業の繰り返し。

 

音声データに静止画像を埋め込んで動画形式のファイルに変換するためには、この楽曲に相応しい画像を選ばなければなりません。

 

なるべく自分が撮った写真を使いたいところですが、イメージに合うものが見つからないので、ネットから選ぶということになります。

今回は難航し、結局数百の画像と格闘。やっと見つけた画像とコラボして、やっと完成。試行錯誤の連続です。でも何とか最後まで行かなければならないという一種の執念のようなものが、私を突き動かしました。

無我夢中で駆け抜けたという感じ。

(^_^)

 

【2】詩の本質を理解できたのは何十回も聞いてから

 

自分で詩を読み解釈して作曲したにも関わらず、さらに録音を済ませ、その録音ファイルを動画ファイルに編集し終わったにも関わらず、実は私はまだ詩を理解してはいなかったのです。


数日間、毎日時間さえあれば(と言っても、通勤の車の中と仕事を終えて自宅に帰ってからですが)この曲を流し、聞いていました。


最初はこのメロディーラインで本当にいいのか、訂正はないか、見落としや違和感を感じるところはないか・・・というような聞き方でした。

何度も何度も繰り返し聞くうちに、次第に、これ本当に私が作曲したのだろうかという感覚にさえなっていきました。

一晩中寝ながら枕元で音楽を流し寝てしまい、夢の中に音楽が流れ続けるといった状態でした。

 

夢うつつの中で忽然と心に閃いたことがありました。

それは、タイトルの「聖なる儀式」とは何を意味しているのかということでした。

詩の最後の部分で詠まれている「私は軽率に近づく力比べを拒否する」に続く詩の言葉がヒントでした。

 

「私は軽率に近づく力比べを拒否する」それは「夜の声(暗黒の闇の勢力を支配する者の声)が、世に生きる、惨めな人々を凌駕(飲み尽くし支配)するから」、だから私は「無数回、聖なる儀式を行う」。

 

この部分に解答があると私は直感しました。


私はその深い意味を知らず、感ずることもなく詩に少し手を加え、作曲し、録音しただけだったのです。

 

この一文に、この詩全体のテーマが集約され、意味を持ち、歴史的な一つの詩として成立している、と言えるのではないかと思います。


作詩が1993年、ウイグルの情勢は深刻さを増し、中共の過酷な弾圧に対する反抗や暴動で命を落とすウイグル人が出ている状況の中で書かれた詩です。

そういう社会情勢を無視してこの詩を読み解くことは不可能でしょう。

 

「私は軽率に近づく力比べを拒否する」それは「夜の声(暗黒の闇の勢力を支配する者の声)が、世に生きる、惨めな人々を凌駕(飲み尽くし支配)するから」、だから私は「無数回、聖なる儀式を行う」・・・を私なりに読み解くならば次のようになります。

 

私は軽率に暴動を煽ったり起こすことには躊躇する。そうしたいのはやまやまだが、短絡的に今そのような行動に走れば、無辜(むこ)の(罪のない)人々が中共の国家権力と暴力によってどれだけの弾圧を受け悲惨な目にあうか。共に戦い共に行く力を手にしなければ私たちは消されてしまうだろう。そのために、今まで犠牲になった同胞を弔い、世界に助けを求めるために私は私にこの「聖なる儀式」を執り行うことを課する。言葉を持って私はウイグルの民がここにいることを示し訴え続ける・・・と。

 

 

実はテーマの持つ重さを直感した私は初めて読んだ時苦しくなり、私にはそもそも作曲する資格がないのだという内向きの否定的な思いが働き、実に10ヶ月間、心を自分で閉じてきてしまったのだと思います。自分の中に潜む曖昧さ、弱さ、諦めが私を覆っていたのです。・・・



どうか「聖なる儀式」をお聴きくだい。

そして、詩を書かれたタヒル・ハムット・イズギル氏と共に、ムカイダイスさんたち初め多くのウイグルの人たちと共に東トルキスタンの独立を祈りましょう。

 

                 historyninjin

                  2021/5/30

愛は嘘から始まる


f:id:historyninjin:20240131154920j:image

ウイグル人の若手詩人、アブドゥレシット・エリ氏の書いた詩に作曲しました。原詩はウイグル語、日本語訳はムカイダイスさん。

作曲して私は最後のエンディングの部分だけ取り出し、「愛が一本のバラであるのなら」という一曲の独立した歌にしました。

教え子に歌って聞かせると、一度でこの歌が好きになり、すぐに覚えて一緒に歌い始めたので、私のほうが驚いたほどです。綺麗な声で歌ってくれました。

 

                    ・・・・・・・・・

 

タイトルは一瞬「えっ?!」と訝(いぶか)しく思うかも知れない。最初私もそう思ったが、詩を読み作曲していくうちに「嘘」を「偶然」に置き換えたら辻褄が合うのではないかと思った。

 

でも、「偶然」の中にはいろんな要素が含まれるだろう。作為的なやらせもあれば(これがいわゆる嘘にあたるかな)、本当に無心の中での偶然の出会いが重なったことによる偶然もあれば、前世からの定めのような運命的な出会いなどなど。ま、話が尽きないのでここでは深く掘り下げないで単純な意味での「偶然」(「偶然の出会い」)としておくのがこの場合無難だろうと思う。(^_^)

 

愛が芽生えそれが深まっていくと、その嘘(偶然)は真実(真剣な愛)に変貌し、ある意味二人にとっては必然の既定の事実となり、一つの意味を共有し愛を完結させたいというふうに進んでゆく。

 

しかし、そのようにならない場合もある。愛の破綻だ。永遠(真実)と思われていたものががらがらと崩れていくカオスの中にあって、人はそのカオスの中を行ったり来たり、煩悶したり投げやりになったり・・・シナリオのない世界を彷徨う。諦めても諦めきれない世界をいつまでも彷徨う。愛を求めて。

 

詩は最後に愛を一本のバラに例えてこのように謳う。

                 ◆

愛が一本のバラであるのなら
愛が一本のバラの花ならば
美しいバラの花であるのなら
その花は

(ほかの誰でもなく)
あなた自身で受け取って

(そうすればその花は)

(あなたの)胸の内にいつも
咲き続けるだろう

                ◆

 

 


愛は嘘からはじまる on Vimeo

 

  「愛は嘘から始まる」
(愛が一本のバラであるのなら)

◇作曲者が歌っている歌詞

 

愛は嘘から始まる
愛は嘘から始まる

いつしか想像を乗り越えて
真実にそれは変わる
でも恋人に捨てられたなら
嘘のままであってほしい

恋人が戻ることだけが
恋人が戻ることだけが
嘘のままに 嘘のままに
嘘のままに残る

嘘について私は考える
となりの子が通りすぎても
残り香が命をとるほどに
地面に散らばろうとも
嘘が真実になる
道筋を考える

歩きながら君を振り返る
何度も何度も君を
君は真向かいの道を歩いて
人混みの中に消える

どうしてと
どうしてだろうと
自責の念に襲われる
どうしてか
どうして君を
見失ってしまったのか
やがて静かに得心がゆく

人混みが君を隠す
人混みが君を連れ去って
行ってしまう
人混みが君を隠す
人混みが君を連れ去って
行ってしまう

君を見たいと思って
君を追いかけてみても
目には何も見えない

太陽は君が去ったといい
天空から地面まで
全てが嘘であることを
望んでいる

窓が開いているのが
幸せが欠けているのが
見えるか

私の生きた生きざまが
私の肉体に魂がないのが
あなたにそれが見える
あなたにそれが見えるか

となりの娘が通り
再び通り過ぎてゆく
残り香はもうない
となりの娘が通り
再び通り過ぎてゆく
残り香はもうどこにもない

私たちが別れたあの角は
誰かをめぐりあわせ
誰かを別れさせる

私は去ったが
君のようには去れない
私は生きたが
君のようには生きられない
私は忍耐強いが
君のように強くはない
私は諦めたが
君のようには諦めない
諦めきれない

嘘から始まったことばかり
考えていられない
初めは信じられなかった真実を
思い出せない

君を待っている
ことだけをおぼえて
いる
残りは
嘘ばかり

LaLaLaLa LaLaLaLa~

愛が一本のバラであるのなら
愛が一本のバラの花ならば
美しいバラの花であるのなら
その花はあなた自身で
受け取って

愛がひとつの物語であるなら
語ることはやめて
じっと見つめて

あの日がこの日と
手と手を繋いで
私が本当の私に戻って
本来の私に戻ったならば
少しももう
不思議なことではなくて
胸の内にいつも咲き続けるだろう

愛が一本のバラであるのなら
愛が一本のバラの花ならば
美しいバラの花であるのなら
その花は
あなた自身で受け取って

胸の内にいつも
咲き続けるだろう

愛が一本のバラであるのなら
愛が一本のバラの花ならば
美しいバラの花であるのなら
その花は
あなた自身で受け取って

胸の内にいつも
咲き続けるだろう

 

 

・原詩:Abdureshit Eli
    (ウイグルの若手実力派詩人の一人)
  雅号「闇にいる人」

・日本語訳詩:ムカイダイスさん

・編詩・作曲: historyninjin 2021/2/19

    録音: 2021/2/23

 

 

◆ムカイダイスさんのお便り 2021/2/18

 

ウイグルの詩の夕べを開催するために準備しております。コロナが落ち着いたらお知らせをします。
今日は日本語ウイグル語で朗読した、ウイグルの若手実力派詩人の一人Abdureshit Eliの詩を聴いて頂きたいです。彼の雅号は「闇にいる人」です。クールで渋い詩人です。
今日は練習用に録音しました。本番まで頑張ります。真っ赤なドレスを着て魅惑的なウイグルの音楽に合わせて詩を朗読する詩の夕べの本番まで頑張ります。

 

↓ historyninjin m(_ _)m

(ウイグル語の表記が左からになっていますことをお詫びいたします)

ياپۇنىيەدە دۇست بۇرادەر ، خىزمەتداش ، ئۇستاز
ئۇقۇغۇچىلار بىلەن "ئۇيغۇر ئاۋانگارت ياش شائىرلىرى شېئىر كېچىلىكى "ئۆتكۈزمەكچى ·كورۇنا بولغاچقا چەتئەلدىن مېھمان چاقىرالمىدىم . پۇرسەت كېيىن كۈزلەرگە قالدۇرۇلدى .
بۈگۈن مەشق ئۈچۈن دىكلىماتسىيە قىلىنغان مېنىڭ قىيامەتلىك نۇچى ئاغىنىلىرىمدىن بىرى "تۈندىكى ئادەم " يەنى ئابدۇرېشىت ئەلىنىڭ "سۆيگۈ يالغاندىن باشلىنىدۇ "ناملىق شېئىرىنىڭ ياپۇنچە ئۇيغۇرچىسىنى ھوزۇريڭلارغا سۇنىمەن .

شېئىر " ئۇيغۇر ئاۋانگارت ياش شائىرلار شېئىرلىرى "ياپۇنچە نەشرىدىن ئېلىندى . تەرجىمان مۇقەددەس نۇر ۋە ياپۇنىيە شائىرى كاۋاى ماكوتۇ .
اۋازغا ئالغان ئاكانې خانىمغا رەھمەت 😁💕

 

「愛は嘘から始まる」

(ムカイダイスさんによる原詩の編訳)

◇この詩を元に作曲にとりかかり、さらに詩を日本語の世界に編み直して前出の曲にしあげました。◇
              
愛は嘘から始まる
いつしか想像を超えて真実に変わる
恋人に捨てられた時 全てが嘘のままであって欲しい
恋人が戻ることだけが嘘のまま残る
嘘について考える
隣の娘が私の前を通り過ぎる
残り香が
命を取るほどに地面に散らばる
嘘が真実になる道筋を考える
歩きながら君の方を繁く振り向く
君は真向いの道を歩く
人混みの中に君を見失う
どうしてと自責の念にかられる
やがて得心がゆく
人混みが君を隠してしまう
君を見ることができない
太陽は君が去ったと言い
天空から地面まで
全てが嘘であることを望んでいる
窓が開いているのが 見えるか
幸が欠けているが 見えるか
私の生きざまが 見えるか
私の肉体に魂がないのが 見えるか
隣の娘が再び通り過ぎて行く
残り香はもうない
私たちが別れたあの角は
誰かを巡り合わせ 誰かを別れさせる
私は去ったが 君のようには去れない
私は生きたが 君のようには生きられない
私は忍耐強いが 君のようには忍耐強くない
私は諦めたが 君のようには諦めない
嘘から始まったことばかりを考えてはいられない
始めは信じられなかった真実を思い出せない
君を待っていることだけを覚えている
残りは嘘ばかり
愛が一本の薔薇であるのなら 自身で受け取って
愛が一つの物語であるのなら 語るのを止めて
あの日がこの日と繋がり
私は自身に戻っても不思議ではあるまい

 

سۆيگۈ يالغاندىن باشلىنىدۇ
ئابدۇرېشىت ئېلى
سۆيگۈ يالغاندىن باشلىنىدۇ،
بارا-بارا تەسەۋۋۇر قىلغۇسىز دەرىجىدىكى راستقا ئايلىنىدۇ
كېيىن مەشۇقۇڭ تاشلاپ كەتكەندە
ھەممىنىڭ ئاۋۋالقىدەكلا يالغان بولۇشىنى ئۈمىد قىلىسەن
بىراق بۇ چاغدا ئۇنىڭ قايتىپ كېلىشىدىن باشقىسى يالغان بولمايدۇ.
تۇرۇپلا يالغان توغرىلىق ئويلاپ قالدىم
خوشنامنىڭ قىزى ئالدىمدىن ئۆتۈپ كەتتى
ئۇنىڭدىن قالغان قىزلىق ھىدى
جېنىمنى ئالالماي يەرگە چېچىلدى،
تۇرۇپلا يالغاننىڭ راستقا ئايلىنىش جەريانىنى ئويلاپ قالدىم
مەن كېتىۋېتىپ سەن تەرەپكە قايرىلىدىم پات-پات
سەن كېتىۋاتاتاتتىڭ ئۇدۇل يول بىلەن
ئادەملەر ئارىسىدا غايىپ بولغىنىڭنى كۆرمەي قالدىم
نېمىشقا كۆرمىدىم دەپ ئۆزۈمنى ئەيىبلىدىم
ئارقىدىن بۇنىڭ مۇقەررەرلىك ئىكەنلىكىنى ئېتىراپ قىلدىم.
سېنى يوشۇردى ئادەملەر،
سېنى كۆرسەتمىدى كۆزلەر
سېنى كەتتى دېدى قۇياش
ئاسماندىن يەرگە قەدەر.
تۇرۇپلا ھەممىنىڭ يالغان بولۇشىنى ئۈمىد قىلدىم
دېرىزەم ئۇچۇق، كۆردۈڭمۇ
بەختىم پۇچۇق، كۆردۈڭمۇ
كۆردۈڭمۇ، مېنىڭ ياشاپ يۈرگەن تېنىمنى
ئىلكىمدە روھىم يوق، كۆردۈڭمۇ؟
خوشنامنىڭ قىزى يەنە ئۆتتى
بۇ قېتىم ئۇنىڭدىن قىزلىق ھىدى كەلمىدى
بىز ئىككىمىز ئايرىلغان ئاشۇ دوقمۇش
كىملەرنى ئۇچراشتۇرۇپ، كىملەرنى ئايرىدى ئەمدى.
مەنمۇ كەتتىم، بىراق سەندەك كېتەلمىدىم،
مەنمۇ ياشىدىم بىراق سەندەك ياشىيالمىدىم
مەنمۇ چىدىدىم بىراق سەندەك چىدىيالمىدىم
مەنمۇ كەچتىم بىراق سەندەك كېچەلمىدىم.
يالغاندىن باشلانغانلىقىنى ئويلىغۇدەك ھالىم يوق
كېيىن ئىشەنگۈسىز راستقا ئايلانغانلىقىنى ئەسلىگۈدەك ھالىم يوق
سېنى كۈتكىنىم ئېسىمدىدۇر بايىقىدەك
بۇنىڭدىن باشقىسى يالغاندۇر تولۇق.
سۆيگۈ بىر ئەتىرگۈل بولسا، بولدى ئۆزەڭ ئال
سۆيگۈ بىر چۆچەك بولسا، توختات، بولدى بەس.
ئۇ كۈنلەر تۇتاشقان بۇ كۈنلەر بىلەن
ئۆزەمگە قايتىپ كەلسەم ھېچ ئەجەپ ئەمەس.

 

 

◆愛は嘘からはじまる part Ⅱ ◆

エンディング部分だけ「愛が一本のバラであるのなら」という独立した歌にしました。教え子と一緒に歌って録音したものです。お聞きください。(^_^)

 


愛が一本のバラであるのなら on Vimeo

 

愛が一本のバラであるのなら
愛が一本のバラの花ならば
美しいバラの花であるのなら
その花はあなた自身で
受け取って

愛がひとつの物語であるなら
語ることはやめて
じっと見つめて

あの日がこの日と
手と手を繋いで
私が本当の私に戻って
本来の私に戻ったならば
少しももう
不思議なことではなくて
胸の内にいつも咲き続けるだろう

愛が一本のバラであるのなら
愛が一本のバラの花ならば
美しいバラの花であるのなら
その花は
あなた自身で受け取って

胸の内にいつも
咲き続けるだろう

愛が一本のバラであるのなら
愛が一本のバラの花ならば
美しいバラの花であるのなら
その花は
あなた自身で受け取って

胸の内にいつも
咲き続けるだろう

 

(編詩・作曲:2021/2/19 historyninjin )

 

 

 

Twitterより(2022/6)

https://twitter.com/muqeddes100/status/1534808844093620225?t=biVP-7PEWym3F2Qh6PAXWw&s=19

 

YouTube 2023/9/28にアップ

https://youtu.be/tM5RATtryGY?si=l0j0SILmA9yfT_ad

 

 

 

 

アッラーが巡り合わせたが故に(レヒム・ヤスン・キャイナミ)


f:id:historyninjin:20220814061709j:image

 


アッラーが巡り合わせたが故に on Vimeo

 

アッラーが巡り合わせたが故に」

(詩 : レヒム・ヤスン・キャイナミ)

 

あなたと出逢った場所で
あなたの死が芽生えるとは
あなたの苦しみと
あなたの嘆きを
癒すために私は
私の死体を置き
涙の雨をその場所に
連れてくる

あなたと出逢った場所で
あなたの死が芽生えるとは
あなたの苦しみと
あなたの嘆きを
癒すために私は
私の死体を置き
涙の雨をその場所に
連れてくる

私たちの間を
隔てる気の遠くなるような
長い年月
長い年月
そこにあるのは
窓から覗く目と
風のように通り過ぎる言葉

そこにあるのは
私たちを飲み込んだ
別離を意味する
固まった血
その血にはさまれた
私たち二人

一つの石が
門の前に立ち止まり
私は私の過去を
その石の上に乗せる

うめくような
重々しい
溜息がこぼれ落ちる
うめくような重々しい
溜息が滴り落ちる
うめくような重々しい
溜息が煌めきながら
散らばる

私たちは
巡り合った故
別れる定めなのだろうか
生まれたが故死ぬ定めと
同じなのだろうか
狂おしく逢いたい想いの
この苦しみの中で
恋というこの病の中で
孤独にならなければならない
定めなのだろうか
定めなのだろうか

あなたが雪となって
降り続けるので
私はひたすらその雪を追い
冬を探す
あなたが小石となり
投げつけられたので
私は卑怯な者になることを
怖れはしない

あなたが死をもって
私のため生きたので
私も死をもって
あなたのために生きる

アッラーが私たちを
巡り合わせたことの故に
あなたがあなたの命を炎に燃やしたので
私の命も
燃やされて灰になることから
逃げはしない
アッラーが私たちを
巡り合わせた故に

アッラーが私たちを
巡り合わせたことの故に
あなたがあなたの命を炎に燃やしたので
私の命も
燃やされて灰になることから
逃げはしない
アッラーが私たちを
巡り合わせた故に

あなたと出逢った場所で
あなたの死が芽生えるとは
あなたの苦しみと
あなたの嘆きを
癒すために私は
私の死体を置き
涙の雨を
その場所に連れてくる

あなたと出逢った場所で
あなたの死が芽生えるとは
あなたの苦しみと
あなたの嘆きを
癒すために私は
私の死体を置き
涙の雨を
その場所に連れてくる

 

原詩:レヒム・ヤスン・キャイナミ
日本語訳詩:むかいだいす
編詩・作曲:historyninjin (2021/4/21)

 

【編詩・作曲者よりの注解】

ウイグル人イスラム教の民です。民族的にはテュルク系であり、同じイスラム教のアラブ系の人々とは言語的にも文化的にも歴史的にも一線を画する人々です。

宗教的な面から見ると、歴史の中で仏教ならびにキリスト教等の影響も色濃くその文化の中に融合しており、日本の文化とも親和性を帯びていると言えます。

原詩の題名「アッラーが巡り合わせたが故に」をそのままタイトルにしましたが、アラブ系の人たちの唱える「アッラー」とウイグルの人々が唱える「アッラー」では私に言わせると少しニュアンスが違うように思われます。

日本文化の万葉集までもウイグル語に翻訳して紹介されるほど日本語に堪能なムカイダイスさんによるウイグル人の詩の翻訳を数十編目を通しましたが、所々日本人の私が舌を巻くほどの言葉使いがなされており、一目を置かざるを得ません。

その詩に触れるほど、ウイグルの詩の文化の深さを感じざるを得ません。

今はもう絶えてしまいましたが、かつて万葉時代、日本では和歌を詠み、送り合う風習があったようですが、それと同じようにウイグルの人たちは今も、詩を詠みそれを手紙にしたためて親しい人らと互いに送り合う風習が文化となって定着しているそうです。

 

今回この詩「アッラーが巡り合わせたが故に」の背景を考えると、深刻になり粛然とせざるを得ません。

中国によるジェノサイドの死の弾圧という政治的状況にがんじがらめにされている中で生じた過酷かつ残虐な事実から編み出された、血が滲み、涙と叫びが込められた詩だということです。

虚飾や文学的に浮薄な装飾はそこに入り込む余地のない世界からの沈黙の絶叫が塗り込められたメッセージなのだということを理解しないと直視できないものです。

真似をすることが不可能なのはいうまでもありません。私はその漆黒を払拭するには、詩に曲をつけたぐらいではどうにもならない絶望的な悲しみを感じています。

 

                           2021/5/29記

                           historyninjin

 

●むかいだいすさんからのお便り(2021/4/18)

ئۇيغۇر شېئىرلىرى ياپۇنىيە ئاسمىنىدا پەرۋاز قىل !

ウイグルの詩よ、日本の風にのって羽ばたけ!
今日は皆さまに東トルキスタンに暮らす天才詩人の一人、レヒム・ヤスン・キャイナミの詩を一つ紹介させていただきます。彼も今強制収容所の中にいます。
日本の皆様、どうかウイグルの詩と文学をを応援してください。

 

※以下ウイグル語の文章

本来は右から左に表記されますが、操作の仕方がわからないのでコピーペーストした表記(左から右)になっております。申し訳ありません。

 

مەن شېئىرلىرىنى بەك ياخشى كۆرىدىغان ۋەتەندىكى نادىر شائىر ھەم قىممەتلىك دوسلىرىمدىن بىرى قاينامىنىڭ شېئىرلىرىدىن يەنە بىرنى ياپۇنچە تەرجىمىسى بىلەن ھوزۇرۇڭلارغا سۇنىمەن .

خۇدا بىزنى ئۇچراشتۇرغانلىقى ئۈچۈنلا...

سېنى ئۇچراتقان يەردىن
ئۆلۈكۈڭنىڭ ئۇنۈپ چىققانلىقىنى كۆردۈم
يېغىۋاتقان يامغۇرلارنى باشلاپ كەلدىم
پەرۋىش قىلسۇن سېنى دەپ ئۆلۈكۈمنى قالدۇردۇم مەنمۇ

ئۇزۇن يىللار ئۆتىدۇ ئارىمىزنى كېسىپ
دەرىزىدىن ماراپ تۇرغان كۈنلەرنىڭ كۆزلىرى قالىدۇ
شامالدەك ئۆتىۋاتقان پويىزنىڭ سۆزلىرى قالىدۇ
بىزنى يېۋەتكەن ھىجراننىڭ لەۋلىرىدە قېتىپ قالغان قان
ۋە چىشلىرى ئارىسىغا كىرىۋالغان ئىككىمىزنىڭ قەدەم ئىزلىرى قالىدۇ

بىر پارچە تاش مېڭىپ كەلگەنچە توختار ئىشىك ئالدىمدا
ئۆتمۈشۈمنى قويىمەن ئۇنىڭ ئالقانلىرىدىكى قاتتىق سۇپىغا
ئاندىن بىر نازۇك شىپىرلاش بىلەن تەڭ بىر لېگەندە پولو قويۇلىدۇ
سۈرلەنگەن ئات گۆشى بېسىلغان،ئات تۇياقلىرى دۈپۈرلەپ تۇرغان
ھەر بىر تال گۈرۈچتىن ئېغىر كىشنەشلەر پارقىراپ تۇرغان...

بىز ئۇچراشقانلىقىمىز ئۈچۈنلا
چوقۇم ئايرىلىشمىز كېرەكمىدى؟
تۇغۇلغانلىقىمىز ئۈچۈنلا ئۆلمەكچى بولغاندەك
ئەسەبىيلەرچە سېغىنىشنىڭ دەردىنى تارتقانلىقىمىز ئۈچۈنلا
سۆيگۈدىن ئىبارەت بۇ كېسەل كارۋېتىدا تەنھا قېلىشىمىز كېرەكمىدى؟

سەن يېغىۋاتقان قارلار بولغانلىقى ئۈچۈنلا مەن قىشنى ئىستەيمەن
سەن يېغىۋاتقان تاشلار بولغانلىقى ئۈچۈنلا مەن قاباھەتتىن قورقمايمەن
سەن ئۆلۈۋاتقان ئۆلۈم بولغانلىقى ئۈچۈنلا مەن ياشاشتىن زېرىكمەيمەن
خۇدا بىزنى ئۇچراشتۇرغانلىقى ئۈچۈنلا
سېنىڭ ھاياتىڭدا كۆيۈۋاتقان ئوتلاردا كۈل بولۇشتىن ھاياتىمنى قاچۇرمايمەن


2016.04.10

 

 

※以下、ウイグル語の日本語訳(ムカイダイスさんの翻訳)

 

アッラーが巡り合わせたが故に」

君と出逢った場所で
君の死が芽生えるのを見る
降る雨を連れて来る
君を労わって育てるために私の死体を残す
長い年月が私たちの間を横切る
窓から覗く日々の目だけが残る
風のように通り過ぎる日々の言葉だけが残る
私たちを呑み込んだ別れの唇に
固まった血と歯に挟まった二人の歩みが残る

一つの石が歩み寄り門の前で立ち止まる
私の過去を石の掌の固い土間に置く
優雅な囁きと同時にピラフが運ばれる
燻製の馬肉が入った馬の足音が聞こえる
米粒から重々しい溜め息が煌めく

私たちは巡り合ったが故に
別れる定めなのか
生まれたが故に死ぬべきと同じように
狂おしく会いたい想いの苦しみを味わったが故に
恋と言うこの病床で孤独になるべきか

君が降り続ける雪の故に私は冬を探す
君が投げられた小石の故に私は卑怯を怖がらない
君が死んでいる故に私は生きることに退屈しない
アッラーが私たちを巡り合わせたが故に
君の命の炎に燃やされ 灰になることから逃げない
2016・04・10

 

追記「ことわき のりと」

https://historyninjin.hatenablog.com/entry/2023/05/21/082531

君の瞳に雪はふる



f:id:historyninjin:20220814061119j:image

 


君の瞳に雪はふる on Vimeo

 

◆君の瞳に雪は降る◆(作曲者が歌っている歌詞)

 

雪は降る君の瞳に
曲がった木にも雪は降る

雪は降る君の瞳に
孤独に佇む私にも

言葉の瞳の入り口で
孤独な私に雪は降る

咲いて乱れる孤独の花たち
降りしきっている私の孤独

月の夜をあなたにあげよう
私の孤独な愛をこめ
美しいあなたの瞳に
孤独な私の雪は降る

咲いて乱れる孤独の花たち
降りしきっている私の孤独

月の夜をあなたにあげよう
私の孤独な愛をこめ
愛らしいあなたの瞳に
孤独な私の雪は降る

  (2020月1月作曲)

 


f:id:historyninjin:20220904065456j:image

 

     (原詩:ウイグル語の日本語訳)

 

        ◆雪は私の孤独に降る◆

 

どの言葉が私を不安にさせるのだろうか
美しい君よ
どの夜を君の愛に与えよう
咲き乱れる孤独が
来たる夜に妬いている

瞳に
君の瞳に 雪の花が降る
私も降る
月明かりの
孤独な小鹿 小鳥
月のように孤独な私
居据わる
孤独な夜の瞳に
話に入る
言葉の瞳の入り口で
雪は私の孤独に降る

雪は降る
腰を曲げた樹木に
月明かりの私の孤独に
美しい君の瞳に

 


f:id:historyninjin:20220904063726j:image

 

 

あなたはこの詩と歌から何を感じますか?
熱く切ない恋の思いですか?
どのくらい熱く切ない恋ですか?
その恋は実らせることができたのでしょうか?
片思いのまま心にひっそりと咲き続けた恋ですか?
孤独という言葉がたくさん出てきますが
なぜでしょうか?

人には誰にも語れない心の秘密があります
でもいつかその秘密を分かち合う人が現れるまで
どこかに刻んでおきたいと
思うのではないでしょうか?

詩を編んで作曲したのは私ですが
元の詩を書いたのは私ではありません
その人に逢ったこともありません
詩を書いたのはうら若い女性です
でも私はこのメディアの発達した時代にあって
その人と電話やメールで話をしたこともありません

私はその女性のことを途方もなく何も知りません
知っているのはこの一編の詩だけです

彼女がこの詩を書いたのはつい最近のことです
でもその人はもうこの世にいないかも知れません
とても不遇な境遇の中にいます

 

原詩はウイグルの現代詩

題名は「雪は私の孤独に降る」という詩で若い女性詩人の作品

激化した中共による民族浄化虐殺の弾圧の中、2017年8月以降音信不通、消息不明とのこと

その詩を元に編んでイメージしたメロディーに合う言葉を選びながら作曲を進めました

原詩の日本語訳はむかいだいすさん

 

初め私が出逢ったのはこの一編の詩だけです
自分で歌ったこの歌を聞いて
私はなぜか何度も涙を流しました

この詩にはとてつもなく悲しいけれど
とてつもなく美しい力がこもっています

世の多くの孤独の中にいる人に
この歌とこの方の元々の詩を届けてあげたいなと思います

 


f:id:historyninjin:20220904063509j:image

原詩そのものへも作曲しています。

原詩へのメロディーは下記です。


君の瞳に雪は降る(原詩へのメロディー) on Vimeo

    (2021年12月13日作曲)

 

サイトへのリンクは下記

https://ninjinmusic.hatenablog.com/entry/2021/12/13/052127


f:id:historyninjin:20220904063544j:image


f:id:historyninjin:20220904063608j:image