タヒル・ハムット・イズギル氏の詩「崩壊過程」へのメロディーです。ウルムチでタヒル氏がおそらく教職に就いておられた時代のことをしたためたものと思われます。中共による思想的統制と弾圧の中での葛藤が描かれているのではないかと考えられます。
音楽動画の画像にはシュールレアリズムの広島県出身の靉光(あいみつ又はあいこう、本名石村日郎)の1938年の作「眼のある風景」を選びました。
「崩壊過程」
1
一つの目がもう一つの目に話しかけていた
その真ん中を(私は)通った
言葉は私にぶつかってこなかった
私も彼らに触れていない
二つの目が互いを見られれば良いのに
2
学生たちが私の口に入ってきた
彼らは真正面を見て真実の文字を
額に貼るべきだった
いづれの時か 私が彼らに休み時間を与えたなら
彼らがそれで互いの違いをみることができたのに
3
春に虫が欲望のように動き回り目覚めていた
ゆっくりと広がって私たちを刺していた
私は彼らを真摯に見極めていた (私は彼らを)
私は彼らを深い所で躊躇させていた
彼らは互いを見たくなかった
4
私は空に近づいていった
近づいて行くに連れて空が消え始めた
私がその中に入った時は独りぼっちだった
我慢が限界に達し
私たちは互いを見ることができなくなっていた
2016年4月 ウルムチ
原詩:タヒル・ハムット・イズギル
日本語編訳:むかいだいす、河合眞
(詩集「聖なる儀式」より)
作曲:historyninjin (2021/11/8)
録音 2022/1/10
やっと作曲を完了しているけれども録音がまだの作品の一つの録音ができました。この中の中ほどに書いてありますが、まだ録音待ちの作品があります。(^_^)
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https://ninjinmusic.hatenablog.com/entry/2021/12/18/084902
「崩壊過程」の意味するところが何か、私にとってはっきりとはわからないというところが正直なところですが、「彼ら」と呼ばれる学生(タヒル氏の教え子)がウイグル人なのかどうか判然としませんが、タヒル氏は自分の中にある思想的信条を抑えに抑えて虚無のなかを彷徨うような世界を味わっておられたようですね。