「夜の歌」
私は私たちの中で一番の間抜け
闇の由来など気にも留めない
(闇の由来など気にも留めない)
気温が上がった時に
金魚が閉じ込められた氷の塊を思い出す
(氷の塊を)
私たちを動かすスープが
私も動かし続ける
家で手塩を(に)かけて育てた飛べる子羊を
悦に入りながら締めている時に
幼い娘たちが頭の上を浮遊し見つめている
焦げた山の麓に
容易く咲くメロンの黄色の花が
夜の歌声が止んだ時には独りになってしまう
口から火を吹く白い雀が
黄色いなつめの上で物思いに更けながら仰向けに横たわる
私たちにはこのような決まりがある
(私たちにはこのような決まりがある)
誰かの寿命が長ければ
私たちが夜に歌う歌を
その人が始めてくれる
(その人が始めてくれる)
〈付加エンディング〉
私は私たちの中で一番の間抜け
私は私たちの中で一番の間抜け
私は私たちの中で一番の間抜け
闇の由来など気にも留めない
闇の由来など気にも留めない
原詩:タヒル・ハムット・イズギル
2016年5月 ウルムチにて作詩
日本語編訳:むかいだいす、河合眞
(詩集「聖なる儀式」より)
作曲:historyninjin 2021/12/30
録音 2022/1/10
関連リンク「浮遊するものに関する随想」
https://ninjinmusic.hatenablog.com/entry/2022/01/11/065626