Ninjin Music Blog

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「都市の夜」(敵は私自身)

 
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都市とは近代都市として存在するウルムチのことでしょう。ウルムチのことを様々な表現で言い表しているが最後に、自分の敵は己れ自身であると結んでおり、興味深く読むことができます。

 


[都市の夜 on Vimeo


「都市の夜」


空港から 駅から バス停から

流れ出る無数の人が

狂ったように都市に飛んで行く

地面に勢いよく撒かれた汚水のように吸い取られる

けれど 私は歩いてその夜の近くに行く


輝きながら私の目の前を(通り)過ぎて行く

頑固な通りと怒りっぽいバス 腰を屈めたビル群

睨みつける街灯 乱れた道 侘しい塵

美しい牢屋と剥き出しのセメントの柱


私は来た いつも来るように

まるで誰もが離れていなかったかのように

この都市の能力と夜の凄腕

一匹の黒猫と一頭の白山羊になり

私の真ん前を繰り返し横切っていた

私ができることはこれだけ

山と共にこの都市の両手を掴み

反対方向に引っ張る


実のところ

私はこの都市の全てに無関心

死に場所に相応しいとも思えない

私にしがみついたその夜

その頭を撫で コソ泥のような目を見つめる

手を掴んで下に引き寄せる

霧を纏って共に寝る


この都市で私は 敵である己に対峙する

 


2015年2月 ウルムチ

原詩:タヒル・ハムット・イズギル

日本語編訳:むかいだいす、河合眞
     (詩集「聖なる儀式」より)

作曲:historyninjin (2021/11/18)
      録音 2022/1/10