タヒル・ハムット・イズギル氏の詩「道」(2015年3月作品)に作曲しました。三連から成る詩です。初めに全曲を掲載します。終わりのほうに各連に分けたものを掲載します。
「道」
1
厳しい冬を生き残った 一人がいてほしい
彼が雨を胸ポケットにしまい
風が種を畑に撒いている
ある農夫の近くに行き
彼に「ほら,私が来たよ」と言い
帰りに七つの家から綿を乞い
指のあいだに加えて私に見せて欲しい
2
朝餉に向かった天使がいて欲しい
彼女の手には青色の小包みがあり
彼女は速達でそれを私宛に送り
その中から言葉が話せる雲雀が出て来て
私に「ほら,私が来た」と言い
その天使が家に帰って
行燈の芯を棉から紡いで欲しい
3
遥か遠くの荒野で唯私だけの為に育った
私以外の誰も注意を向けなかった
一本の木があって欲しい
幹が鉄 葉が銀 果実は金であって欲しい
私は風の種を胸ポケットにしまい その傍らに行き
彼に「ほら,私が来た」と言い
帰りがけに
小窓のそばの行燈の下に座して
話せる雲雀を夢見てうとうとしている
農夫を見たい
2015年3月 ウルムチ
詩集「聖なる儀式」ムカイダイス,河合眞編訳
作曲 historyninjin 2023年4月18日