◆距離◆
タヒル・ハムット・イズギル氏の距離という詩を編み直し、個人的な解釈を加えてメロディーを付け、歌にしました。
●「距離」の歌詞
(原詩からの編詩)
冷たい水と酒を飲みながら
窓をあけて毒々しい話をする
蝉の鳴き声 鳴きしぐれる中に
私たちは歪められ 砕かれている
果てしなく遠い距離 鏡に吸い込まれ
狂おしき想念に閉じ込められている
果てしなく遠い距離 鏡に歪められ
狂おしき情念に崩おれてゆく
冷たい水と酒を飲みながら
窓をあけて毒々しい話をする
蝉の鳴き声 鳴きしぐれる中に
私たちは歪められ 砕かれている
作曲 2020/3/28 historyninjin
歌詞の一部変更 2020/3/30
詩人紹介:
タヒル・ハムット Tahir Hamut 1969年、カシュガルに生まれる。若手を代表する詩人。2016年にウイグル詩人として初めてアメリカで「詩のタべ」を開く。「西歌現代文学概論」などの著書と「間と他」などの詩集がある。ウイグル芸術学院助教授。
「ウイグル新鋭詩人 選詩集」より
編訳者:ムカイダイス 河合眞
株式会社左右社
◆作曲者のコメント
詮索になるかもしれないが、タヒル・ハムット・イズギル氏の「距離」という詩を読んで、職業訓練所という強制収容所のことが頭に浮かんできた。
原詩の最後に「自殺ができたなら」とある。自殺できるならそのほうがどんなにましか知れない状況なのだ。
しかし現実には家族や親しい人たちが人質にとられているのでその選択肢もない・・・そのような抉り取られるような痛みの世界をこの詩は伝えているのではないだろうか。
作曲しながら、ようやくこのような詩が生まれてくる歴史的現実的過酷な状況が見えてくる。