「ウルムチ」
町は
死せる氷の中
古の凍てつく風が
尊厳を吹き飛ばしていた
水面に映った星影が
ずぶ濡れになった
地面から蒸気が立ち昇っている場所で
真昼の一時 私は啜り泣きを耳にした
町は
繰り返される乱れた物語
主人公になれない私
幾年も前の太陽の光が煌めく夏の日
愛への恐怖を抱いた病んだ娘が
愛しているというウイグル語が分からぬまま
町から立ち去った
町は
疲れきっていた 私のように
春と秋を拒んだ
霧の中で遠のいていった
原詩:タヒル・ハムット・イズギル(2007/3ウルムチ)
日本語編訳:むかいだいす、河合眞(詩集「聖なる儀式」より) 作曲:historyninjin (2021/10/10)
◆原詩から創作した「ウルムチ」は下記で聞くことができます。
https://ninjinmusic.hatenablog.com/entry/2021/09/16/071052
◆旧版の「ウルムチ」です。音程は3度低く、修正を加える前のものです。