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6月の雨


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6月の雨(詩中原中也) on Vimeo

◆「六月の雨」(詩:中原中也)◆

またひとしきり午前の雨が
菖蒲(しょうぶ)のいろのみどりいろ
眼(まなこ)うるめる 
面長(おもなが)き女(ひと)
たちあらわれて消えてゆく

またひとしきり午前の雨が
菖蒲(しょうぶ)のいろのみどりいろ
眼(まなこ)うるめる 
面長(おもなが)き女(ひと)
たちあらわれて消えてゆく

たちあらわれて消えゆけば
うれいに沈みしとしとと
畠(はたけ)の上に落ちている
はてもしれず落ちている

お太鼓(たいこ)叩(たた)いて笛吹いて
あどけない子らが日曜日
畳の上で遊びます
お太鼓叩いて笛吹いて

お太鼓(たいこ)叩(たた)いて笛吹いて
あどけない子らが日曜日
畳の上で遊びます
お太鼓叩いて笛吹いて

遊んでいれば雨が降る
櫺子(れんじ)の外に雨が降る

遊んでいれば雨が降る
櫺子(れんじ)の外に雨が降る

 詩:中原中也
 作曲:historyninjin 2021/3/13

この詩の最も頂点は「まなこ潤める面長き人、たちあらわれて消えてゆく」というところだと思います。
その人とは中也が密かに心を寄せる人かも知れません。もしかしたら、もうこの世におられない方かも知れません。
なぜ眼が潤んでいるのか理由は定かではありませんが、実らなかった恋の思いを噛み締めて耐えながら静かに逝かれたからかも知れません。
中也の心にしんみりとした陰影を落とし、中也の心にいつも静かに灯っているのではないかと思います。
人は生き、やがて去っていく定めを中也自身が諦感に似た思いで受け止め、6月の梅雨の雨の中に佇んで、自分の幼い子どもたちが無邪気に遊んでいる音に耳を傾けている姿が浮かんできます。今からずいぶん前、息子が山口の大学に通っていたとき、二日ほど山口に行ったことがあります。ちょうど知り合いが山口に住んでいて連絡したら車で町を案内してくれました。ふと、私が中原中也のお墓に行きたいと言うと、快く案内してくれ、中也のお墓に頭を下げたことが思い出されます。

 

●ムカイダイスさんからのお便り

2021/3/13 東京 雨
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六月の雨

中原中也

またひとしきり 午前の雨が
菖蒲(しょうぶ)のいろの みどりいろ
眼(まなこ)うるめる 
面長(おもなが)き女(ひと)
たちあらわれて 消えてゆく

たちあらわれて 消えゆけば
うれいに沈み しとしとと
畠(はたけ)の上に 落ちている
はてしもしれず 落ちている

お太鼓(たいこ)叩(たた)いて 笛吹いて
 あどけない子が 日曜日
 畳の上で 遊びます

  お太鼓叩いて 笛吹いて
  遊んでいれば 雨が降る
  櫺子(れんじ)の外に 雨が降る

 

リンク「汚れちまった悲しみに」2022/2/22

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