Ninjin Music Blog

オリジナル楽曲の紹介やカバー曲を投稿していきます

天国のあなたへ

32歳で戦死したご主人に宛てて、柳原タケさんという方が50年後の1995年にしたためた恋文の文章をそのまま歌詞にして作曲。


ある日ネットでこの手紙文を見つけ読んでいると、最初の1~2フレーズのメロディーが頭を過ったのが作曲のきっかけでした。インスピレーションと言うのでしょう。メロディーが心の中からわき上がり、頭の中で響き始めたのです。


はじめ、とてもこんな長文にメロディーがついて歌になるとは思えませんでした。けれども、せっかく聞こえてきたメロディーが無になっては、亡くなった方たち、戦火をくぐってこられた先人の方たちに申し訳ないと思い、続きのメロディーを探しながら五線譜に書き込んでいきました。傍らにギターを抱きかかえてコードを探しながら・・・。


夢中になってメロディーとコードを追い求め、探し続けていくと、やがて一曲の歌として完結してしまいました。何度も一人で歌い、手直しを加えて完成させることができました。まるで別の遠い世界を一人で旅をしているような不思議な時間でした。


できてしばらくしたとき、音楽関係の知人に聞いてもらったところ、これ合唱曲になったら素晴らしいだろうねと言ってくれましたが、そのまま鳴かず飛ばず・・・。(^^♪


過日、柳原タケさんの娘さん(佐藤緋呂子さん)が日本画家ということを頼りにwebを辿ってメールで連絡をとり、聞いて頂くことができ「当時のことを思い出します」と言葉をいただき嬉しく思っています。


柳原タケさんの娘さんのホームページは下記。天国のあなたへが恋文コンクールで一位に選ばれたことや、アメリカ旅行したこと、子ども心にわだかまった想いが、戦後父親の戦死を伝えに来てくれた方を通してやっと解けたことなどが書かれています。

https://konohanahiro.sakura.ne.jp/koibumisai1.html

 


戦争の思い出を引きずるのではなく、様々な方の思いを繋げて、前に向かって歩んでいく歌として聞いていただければと思います。

 

 

◆「天国のあなたへ」
娘を背に日の丸の小旗を
振ってあなたを見送ってから
もう半世紀が
すぎてしまいました。
たくましいあなたの腕に
抱かれたのはほんのつかの間でした。
三十二歳で英霊となって
天国へ行ってしまったあなたは
今どうしていますか。
私も宇宙船に乗って
あなたのおそばに行きたい。
あなたは三十二歳の青年
私は傘寿を迎えている年です。
おそばに行った時
おまえはどこの人だなんて言わないでね。
よく来たと言ってあの頃のように
寄り添って座らせてくださいね。
お逢いしたら娘夫婦のこと
孫のことまたすぎし日の
あれこれを話し思いきり甘えてみたい。
あなたは優しく
そうかそうかとうなずきながら慰め
よくがんばったと
ほめてくださいね。
そしてそちらの「きみまち坂」に
つれていってもらいたい。
春のあでやかな桜花
夏なまめかしい新緑
秋ようえんなもみじ
冬清らかな雪模様など
四季のうつろいの中を
二人手をつないで歩いてみたい。
私はお別れしてから
ずっとあなたを思いつづけ
愛情を支えにして
生きてまいりました。
もう一度あなたの腕に抱かれて
ねむりたいものです。
力いっぱい抱き締めて
絶対はなさないで下さいね。
娘を背に日の丸の小旗を
振ってあなたを見送ってから
もう半世紀が
すぎてしまいました。
たくましいあなたの腕に
抱かれたのはほんのつかの間でした。
三十二歳で英霊となって
天国へ行ってしまったあなたは
今どうしていますか。
私も宇宙船に乗って
あなたのおそばに行きたい。

 

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